Bleeping Computerは9月9日(米国時間)、「Google rolls out Privacy Sandbox to use Chrome browsing history for ads」において、Googleは「プライバシーサンドボックス」と呼ばれる新しい興味・関心に基づく広告の本格運用を開始し、ユーザーの興味の追跡をサードパーティCookieからChromeブラウザに移行すると伝えた。

  • Google rolls out Privacy Sandbox to use Chrome browsing history for ads

    Google rolls out Privacy Sandbox to use Chrome browsing history for ads

従来のサードパーティCookieでは、広告配信業者がCookieを使ってユーザーのアクセス履歴を収集し、興味・関心に基づく広告を表示していた。この仕組みでは、ユーザーのアクセス履歴が広告配信業者に収集されるため、プライバシー上の問題がある。このため、欧米諸国を中心に法的な規制が進められており、Apple SafariではサードパーティCookieを全面的にブロックするなど、ブラウザ側での規制も進んでいる。

Bleeping Computerによると広告配信業を営むGoogleは、サードパーティCookieの減少を克服して興味・関心に基づく広告の提供を継続するために、Federated Learning of Cohorts (FLoC)と呼ばれる新しいプラットフォームを導入したという。これが最終的にプライバシーサンドボックスの主要機能へと姿を変えたとされる。

Googleによると、プライバシーサンドボックスにはさまざまな機能が提案されている(参考:「プライバシーサンドボックス - Chrome Developers」)。これら提案のうち、広告配信に直接関係があるのはTopics APIで、ユーザーの興味・関心を分類したトピックをブラウザから広告配信業者に提供する機能をもつ。トピックはユーザーのアクセス履歴からブラウザが分析して生成する分類であるため、この情報から広告配信業者がアクセス履歴を収集することは困難となる。

Bleeping Computerによると、プライバシーサンドボックスの提案はApple、MozillaおよびW3C TAGから多くの問題があると指摘されているという。Topics APIを含むプライバシーサンドボックスの実装には相当なコストがかかるとみられ、これら機能が一部のブラウザにしか実装されなかった場合、ユーザーは使用するブラウザによって受けられる体験に差が出ることになると懸念されている。

Chromeのプライバシーサンドボックスは、「広告のトピック」「Webサイトによる広告の提案」「広告の測定」という3つのコンポーネントに分かれている。「広告のトピック」ではユーザーのアクセス履歴からトピックを分析、生成する機能を管理する。Googleによると、共有したくないトピックはブロックが可能で、4週間以上経過したトピックは自動削除される。

「Webサイトによる広告の提案」は、訪れた広告主のサイトから別のサイトに移動したとき、移動先のサイトで広告主の広告を提案する機能を管理する。広告を希望しない場合はブロック可能。「広告の測定」は広告主が広告効果を測定できるようにする機能を管理する。これら3つのコンポーネントは、Chromeの「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「広告プライバシー」からそれぞれ有効・無効を切り替えることができる。

  • Chromeの広告プライバシー設定画面

    Chromeの広告プライバシー設定画面

Bleeping Computerによると、Googleは2024年第1四半期からサードパーティCookieの廃止をはじめ、2024年第4四半期にはサードパーティCookieを完全に廃止する予定とされる。