沖縄セルラー電話、KDDI、バイオームは9月7日、同日から9月8日まで、世界自然遺産に登録されている沖縄県西表島の生物多様性保全を目的として、スマホアプリ「Biome(バイオーム)」と「Starlink Business」を活用した外来種調査を実施することを発表した。

今回の調査では、モバイル通信が不安定なエリアでStarlink Businessを活用してインターネットアクセス回線を構築し、3社の社員が外来種の分布データをBiomeで収集する。このアプリはAI(Artificial Intelligence:人工知能)が動植物の種類を判定するため、専門家ではなくても写真を撮影するだけで高精度な調査が可能だという。

  • 調査の様子

    調査の様子

StarlinkはスペースXが開発した衛星ブロードバンドインターネット。低軌道周回上の衛星を介して通信を行うため、従来の衛星通信サービスと比較して高速かつ低遅延である特徴を持つ。

Starlink Businessは法人や自治体向けにKDDIが提供するサービスであり、Starlinkをそのままインターネットアクセス回線として利用する。自然災害対応やBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策としての利用も見込まれる。陸上だけでなく、船舶や漁場での利用に対応する海上向けプランも展開。

世界自然遺産である西表島においては、絶滅危惧種イリオモテヤマネコなど固有種が多く生息しているが、侵略的外来種の侵入と定着によって生態系への影響が懸念されている。これまで西表島では、環境省や林野庁、沖縄県らによる現地調査や、定点カメラを活用した調査が実施されてきた。

今回の調査は自然環境保護に貢献する「おきなわ自然保護プロジェクト」の一環として、環境省沖縄奄美自然保護事務所、沖縄県環境部自然保護課、竹富町の協力により実現したものだ。調査で収集したデータは環境省、沖縄県、竹富町へ共有し、西表島の環境保護や外来種対策に活用される。