日立システムズは9月7日、石巻地区森林組合(宮城県石巻市)が管轄している森林を対象に、衛星を活用したGHG(温室効果ガス)排出量の測定技術を持つEverImpactと連携し、森林のCO2吸収量を可視化し森林計画と組み合わせることで、カーボンクレジット創出量を算出する実証実験を行い、年間2.25万トンのCO2吸収量、最大2.6億円相当のカーボンクレジットの創出可能性を確認したことを発表した。

  • 今回の実証実験における実施概要のイメージ

    今回の実証実験における実施概要のイメージ

石巻地区森林組合が管轄する森林のうち、植林や間伐等の施業が進んでいる数千haの森林を対象に、EverImpactと連携し、衛星から得られるデータから気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のシナリオを元にした分析により、過去20年分のCO2吸収量を可視化。その情報と森林計画を組み合わせることで、カーボンクレジット創出量の算出を行った。

実証実験では、ボランタリークレジット市場の約70%のシェアを誇るアメリカのNPOであるVerraが認定する「ボランタリークレジットVCS」を採用した。日立システムズはこの実証実験を通じて、年間2.25万トンのCO2吸収量、最大2.6億円相当のカーボンクレジットの創出可能性を確認したという。

日立システムズは今回の実証実験で得たノウハウを活用することで、カーボンニュートラルへ向けてカーボンクレジット創出から取り引きまでを支援し、自治体、森林組合、森林保有企業等のクレジット創出者・購入者双方へのサービス提供を2024年度中に開始する予定だという。

これにより、カーボンクレジット創出を計画している自治体や森林組合、企業に対し、全国約300拠点のネットワークを活用し、日本全国への展開をめざすと同時に、森林面積の多い日本における森林に関する課題解決、林業の活性化ひいては地域活性化および脱炭素化を推進し、地域社会への貢献をめざすとしている。また、日本が認証しているカーボンクレジット制度であるJ-クレジット制度でも衛星活用が認められた際は、J-クレジット創出にも取り組む予定だということだ。