AIプラットフォームを提供するDataikuは9月5日、国内で初めてとなる記者説明会を開催した。

説明会には、4月にカントリーマネージャーに就任した佐藤豊氏が登壇し、Dataikuのビジョン、戦略、パートナーを含めた最新の取り組みについて説明した。加えて、AI導入・展開に際して、日本企業が抱えている課題、今後の期待についても語られた。

本稿では、今回の会見の一部始終を紹介する。

Dataikuの由来は「データ+俳句」

最初に登壇したシニアマーケティングマネージャーの松永智子氏によると、同社は2013年にパリで創業された企業で、日本市場には2021年に進出したのだという。日本進出から日が浅いDataikuだが、その社名には日本に関係した由来が隠されている。

「Dataikuという社名の由来は、『Date(データ)』と『Haiku(俳句)』という言葉から来ています。弊社の製品がエンド・ツー・エンドで俳句のように『単一の流れ』になっているということを表した社名なのです」(松永氏)

  • ,社名の由来を語る松永氏

    社名の由来を語る、Dataiku シニアマーケティングマネージャー 松永智子氏

続いて登壇したカントリーマネージャーの佐藤豊氏は、「Dataikuがお客様とともに目指す姿とそのアプローチ」というテーマで、自社の戦略や目標を紹介した。

初めに佐藤氏は「日本は今、未来に向けて次のステージに向かう時期」であるとして、熱弁を振るった。

「多くのお客様と話していて感じるのは、まだAIに取り組んでいない『実験ステージ』にいる方が多いという事実です。AutoML(自動機械学習)を導入した話や、さまざまなAI企業との連携についての話は聞くのですが、いずれも実験的な段階にあり、展開されているプロジェクトはそこまで多くありません」(佐藤氏)

  • ,日本のAIの課題を語る佐藤氏

    日本のAIの課題を語る、Dataiku カントリーマネージャー 佐藤豊氏

日本の企業で展開されているプロジェクト数は数十個から多くても百個程度だそうだが、世界の先進企業では数千のプロジェクトが動いていることもあるという。

そのためDataiku は、ITベンダーとして目線を下げて顧客に合わせるよりも、目線を世界に向けて、日本の顧客を次のステージに引き上げていくことを力強く進めていきたいという。

未来のAIワーカーを5000万人生み出す

続いて、佐藤氏は「人財育成」に関するビジョンを述べた。

Dataikuは、来るべき未来の形として、「あらゆる組織とあらゆる人が日常的にAIから恩恵を得て、特別な存在になること」を定義しているという。その実現に向けては、日本のデジタル競争力を強化し、人財育成を行っていく必要があるという。

アップスキリング(現在の職場で担当している業務について、より高度な知識・技術を身に着けること)においては、データの流れやAIの製品を作る流れといった「データの流れと処理(データパイプライン)を理解する」ことが重要だという。

「データ・AIの時代において、程度の違いはあれど、全てのリーダーはデータのことを知ったかぶりできないフェーズに突入しました。デリケーション(権限を任せる)をできない領域になってきているので、ある程度の知識を全ての人がアップスキリングで身に着けていく必要があるのではないかと考えています」(佐藤氏)

そして、Dataikuの最終的な目標は、全世界で5000万人のAIワーカーを作ることだ。データサイエンティストやデータエンジニアというデータの専門家を100万人育成し、強力なビジネスドメインの専門知識を持った未来のAIワーカーを5000万人作り出したいと考えている。そして、ビジネスアプリケーションでAIを活用するナレッジ・ワーカーが10億人いる世界を目指す。

データやAI活用における組織的なアップスキリングには、「戦略&組織」「人&変革」「デリバリーエンジン」「プラットフォーム」という4つの柱が必要となってくるという。

「戦略や組織をどのように作っていくのか、そして人の変革をどう起こしていくか、ということを考え、またユースケースをどれだけ増やせるかといった形になってくるデリバリーエンジンを活用していく組織作りが重要です。そして、これらがきちんと作用するようなプラットフォームを提供することにより、われわれはお客様を支援してきたいと考えています」(佐藤氏)

最後に佐藤氏は、日本市場における取り組みを紹介した。

経営プライオリティとしては、「パートナーエコシステムの拡大」「ブランド認知度向上」「ターゲット顧客開拓」「日本市場への最適化」といった内容を掲げているという。

市場活動としては、エンタープライズにフォーカスするほか、ビジネス価値(ROI)に注力するために、カスタマーサクセスチームを設置し、顧客に寄り添った伴走活動を行っていく考えだという。