Googleは8月21日、Android Developers Blog「Android Developers Blog: Latest ARTwork on hundreds of millions of devices」において、Androidのアプリ実行環境であるART(Androidランタイム)に関する最新情報と今後の機能強化について明らかにした。

Googleによれば、ART 13最新のアップデートではランタイムとコンパイラが最適化され、アプリの起動時間が最大で30%改善されたという。次期バージョンとなるART 14は、今後数カ月以内にリリースされる予定となっている。

ARTはAndroid OS上でアプリケーションの実行を担う基盤であり、すべてのアプリとほとんどのOSサービスはARTが提供するコアAPIとランタイムAPIに依存している。現在、AndroidアプリはJavaとKotlinという2種類の言語で開発できるが、いずれのプログラムも最終的にはART用のバイトコードに変換して実行される。したがって、ARTのパフォーマンスの向上はすべてのAndroidアプリのパフォーマンスに大きく影響する。

これまで、Androidは従来のモノリシックなアーキテクチャを採用していたため、OSとランタイムのアップデートは同時に行われる必要があった。しかし、GoogleはAndroid OSのモジュール化に着手し、ARTの依存関係を整理して再設計を行った。

これによってOSのアップデートとは独立してARTのみアップデートできるようになり、ユーザーは最新のパフォーマンス向上とセキュリティの修正を迅速に手に入れられるようになったとGoogleは説明している。

ART 13の最新のアップデートは、このモジュール化の恩恵によってOSのアップデートを待つことなくユーザーの手元に届くことになった。このアップデートで、アプリの起動時間や実行速度が短縮、メモリ使用量の向上、バイトコードのコンパイルの効率化などが実現されているほか、セキュリティ修正も行われている。また、OpenJDKの改善も反映されている。

  • ARTのアップデートでAndroidアプリの起動が最大30%高速化 引用:Android Developers Blog

    ARTのアップデートでAndroidアプリの起動が最大30%高速化 引用:Android Developers Blog

次期バージョンのランタイムであるART 14では、コードサイズを削減しながらパフォーマンスを向上させる新しいコンパイラとランタイムの最適化が行われる。また、ART 13がサポートしているのはOpenJDK 11だが、より新しいART 14ではOpenJDK 17はサポートされる。ART 14は、今後数か月以内に互換性のあるすべてのデバイス向けにリリースされる計画だという。