三菱UFJ信託銀行(MUFG)とNTTデータは8月10日、両社で提携し、デジタルアセット全般の発行・管理基盤である「Progmat」とNTTデータグループの社債管理基盤を連携させ、デジタル社債向け“標準化インフラ”の構築を進めることで合意したことを発表した。三菱UFJ銀行は両社と協業し、事業会社などに向けて、同インフラを用いたデジタル社債の発行支援を開始する。

  • 三菱UFJ信託銀行×NTTデータ、デジタル社債向け“標準化インフラ”の構築に向け提携

    三菱UFJ信託銀行×NTTデータ、デジタル社債向け“標準化インフラ”の構築に向け提携

日本国内では累計956億円規模の公募デジタル証券が組成されているが、その中心は不動産などを対象とした資産裏付型デジタル証券で、デジタル社債の発行はいまだ試験的な段階となっている。デジタル社債が本格的に拡大するうえでは、小口化、効率化、コスト削減、環境負荷軽減などの固有の付加価値の提供や利便性の向上に加え、導入/移行に要する負荷を極力小さくすることで、市場参加者や取扱金融機関の裾野を広げる必要があるという。

そこで、デジタル社債の普及に向けて、伝統的な社債(振替債)における受託金融機関向けシステムとしてシェア95%を誇るNTTデータグループと「Progmat」、振替債において多くの受託実績を有する三菱UFJ銀行が連携することで、市場参加者である金融機関や事業会社のデジタル社債市場参入を容易とし、デジタル社債市場の活性化を図るという。

三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ銀行、NTTデータは、伝統的な社債において高いシェアを有する「B-Apps Online」のデジタル社債管理向け機能である「DBM(仮)」と、STにおいて豊富な発行実績を有する「Progmat」の連携を前提に、デジタル社債として“業界横断的な標準”とすべき最適な商品モデルや業務プロセスの策定と、“標準化インフラ”の構築に向けて検討を実施した。

検討内容は、デジタル社債の業務俯瞰図における標準化整理/デジタル社債における標準的な商品モデル整理/「Progmat」を前提とした社債管理人業務フローとデジタル社債管理用基盤「DBM(仮)」の充足性評価/「Progmat」「DBM」間の主なインターフェイス仕様検討およびPoC(概念実証)実施した。検討結果の詳細は「報告書(PDF)」にまとめて公開している。

今後は、「Progmat」と連携可能なデジタル社債管理用基盤「DBM(仮)」の商用版を実装し、NTTデータグループの振替債向けシステムを導入している受託金融機関20行(間接利用先を含めると180行)のうち利用希望先への提供態勢を構築するという。三菱UFJ銀行は同基盤を先行利用し、三菱UFJ銀行を受託金融機関とするデジタル社債について2023年度内の発行を目指す。