IPA（情報処理推進機構）は8月7日、生成AIの安全な利用に必要となるリテラシーを向上するため、デジタルスキル標準（DSS）とITパスポート試験のシラバスに生成AIに関する記載を追加し、同日公開した。

自然な文章や高品質な画像を生成する「生成AI」の登場を受け、経済産業省では2023年6月から、有識者で構成する「デジタル時代の人材政策に関する検討会」で生成AIがデジタル人材育成に与える影響について議論を進め、「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」を同日公表した。

IPAはこの議論と連携し、生成AI時代のDX（デジタルトランスフォーメーション）推進には生成AIを効果的かつ安全に利用するスキルが求められることを踏まえ、デジタルスキル標準（DSS）およびITパスポート試験のシラバスについて生成AIの記載を追加する改訂を行ったという。

デジタルスキル標準の改訂では、生成AI利用において求められるスキル、リテラシー習得の必要性を強調して示すとともに普遍的な骨格を維持しつつ、各スキル項目に説明や例示を追加している。

マインド・スタンスでは、既存の7つのスキル項目と分けて「生成AI利用において求められるマインド・スタンス」のページを追加し、重要性を示しているという。生成AIを生産性向上やビジネス変革などへ適切に利用すること、生成AI利用における注意点を理解していること、生成AIの影響について変化をいとわず学び続けることなどのスタンスを示した。

ITパスポート試験のシラバスの改訂では、AIに関する既存の記載に生成AI関連の記載を拡充したほか、法務やセキュリティに関する項目にも生成AI関連の記載を新たに追加している。

例えば、ITパスポート試験の「ストラテジ」分野における「ビジネスシステム」の項目では、「AIの活用領域及び活用目的」の記載箇所に「生成AIの活用（文章の添削・要約，アイディアの提案，科学論文の執筆，プログラミング，画像生成など）」を追加している。

今回のシラバス改訂を受けたITパスポート試験における出題は、受験者への周知期間、学習期間等を踏まえ、2024年4月の試験から開始する予定となっており、生成AIに関するサンプル問題を8月下旬以降に公開するという。