電通デジタルは7月26日、同社の事業領域のうち、DX(デジタルトランスフォーメーション)による企業の変革を支援する「トランスフォーメーション領域」における事業説明会を開催した。

会見には代表取締役社長 執行役員の瀧本恒氏、執行役員の安田裕美子氏が登壇し、「トランスフォーメーション領域」において行ってきたDX 支援の事例を交えながら、同領域の現在の取り組みや強み、今後の事業戦略について語った。

本稿では、その一部始終を紹介する。

  • 左から、電通デジタル 執行役員 安田裕美子氏、代表取締役社長 執行役員 瀧本恒氏

電通デジタルが展開する4つの事業領域

電通デジタルは2016 年の創立以来、生活者に寄り添うクリエイティビティとデータやテクノロジーを組み合わせ、コンサルティングから開発、実行支援まで総合的なサービスを展開し、企業の事業成長に貢献している。

そして、同社の事業領域の一つである「トランスフォーメーション領域」では、クライアント企業の「既存事業深化と新規事業創造の両利きによる成長」に向けて、多様なアセットや独自のアプローチにより事業変革を支援しているという。

瀧本氏は、初めに「日本のDXのステージと電通デジタルのカバー領域」について説明した。

「弊社は、DXを『IT導入/業務効率化期』、『事業変革/新価値創造期』、『世の中ゴト化』に分類しています。日本のDXは、最初の『IT導入/業務効率化期』を経て『事業変革/新価値創造期』の段階に入ってきていると思います。今後は『世の中ゴト化』に期待がかかると見ています。『世の中ゴト化』においては、電通デジタルの新しく作った事業や価値を世の中に広めていく力を生かして大きく貢献していきたいと思っています」(瀧本氏)

  • 電通デジタルの「トランスフォーメーション領域」を説明する瀧本氏

続いて瀧本氏は「電通デジタルの4つの事業領域のポジション」について説明した。

同社の事業領域は、DXコンサルティングを行う「トランスフォーメーション領域」、企業のテクノロジー活用を手助けする「テクノロジートランスフォーメーション領域」、デジタル広告やマーケティングを手がける「メディア&コミュニケーション領域」、クリエイティブプランニング・制作などを行う「クリエイティブ領域」の4つで構成されている。

そして、この4つの事業領域によって、「デジタルマーケティング会社の電通デジタル」から「総合デジタルファームの電通デジタル」に進化したという。

「弊社は今まで『デジタルマーケティング会社』という形式を取っていましたが、この4つの事業領域が複雑化してきている企業の課題に統合的に向き合うことで、クライアント企業と社会・経済の変革と成長にコミットする『総合デジタルファーム』に変革することができたと考えております」(瀧本氏)

日本のDXは「業務効率化期」から「新価値創造期」へ

続いて登壇した安田氏は、具体的な「トランスフォーメーション領域」について紹介した。

「日本のDXはこれまで、IT導入や業務効率化といった『企業起点の変革』が中心で行われてきました。しかし、現在は事業変革や新価値の創造を行うフェーズに入ってきています。効率化・構想期を経て変革の実践が求められているのです」(安田氏)

  • 電通デジタルのDXへの取り組みを語る安田氏

このような時流を背景として、企業には「既存事業の深化・高度化」と「自社らしい新規事業の創造・開発」を両輪で推進する「両利きの経営」が求められていると安田氏は語った。

「企業には『既存事業の深化・高度化』と『自社らしい新規事業の創造・開発』を両立する『両利きの経営』が求められています。このような課題に対して、電通デジタルは、顧客企業との二人三脚・クリエイティビティ基点・新たな価値の具現化といった特徴を持つ『創造的伴走』で支援していきたいと思っております」(安田氏)

また電通デジタルのAI事業として、全社横断「AIコミッティ」を設立したという事例が紹介された。

この「AIコミッティ」は、2023年4月1日にデータアーティストが電通デジタルに合併したことを受け、AI事業をスピーディに推進していくために設立されたもの。現在の業務効率化にとどまらない、顧客向けサービスやマーケティング、そのための社内システムを「AI対応型」にシフトすることを目指していくという。

加えて、コンサルティングメニューや独自プロダクトの提供も計画されている。

安田氏は最後に今後の事業展望について、以下のように語った。

「現在メインで行っている『各社に対する支援業』に加えて、お客様と共創する『各社と共に行う創造業』、そして1社では解決できない課題に対する連携を支援する『各社をつなぐ創造業』への展開を描いています。また今後のテーマである『Green×Tech』といったジャンルや『AI』の活用についても随時発表できる事例を増やしていきたいと思っております」(安田氏)