バッファローは7月27日、Wi-Fi 6(11ax)に対応した法人向け無線LANアクセスポイントのエントリーモデル「WAPS-AX4」を8月上旬より発売すると発表した。同日、記者説明会で、法人事業の戦略の説明も行われた。
「キキNaviクラウドゼロタッチ」に対応した「WAPS-AX4/Z」も発表された。「キキNav」は同社の法人向けルータやスマートスイッチ用リモート管理サービスで、「キキNaviクラウドゼロタッチ」は開梱不要でキキNaviによる遠隔設定が行える仕組みだ。価格は「WAPS-AX4」「WAPS-AX4/Z」いずれも3万8280円。
「WAPS-AX4」の無線端末の最大接続台は128台(5GHz:64台/ 2.4GHz:64台)で、セキュリティの機能としては、WPA3 Personal、WPA3 Enterprise、MACアドレスフィルターなどに対応している。
事業本部 法人マーケティング部長 富山強氏は、「WAPS-AX4」の特徴としてコンパクトな点を挙げた。「アンテナを内蔵していながら、文庫本と同等のサイズで、法人向けのアクセスポイントの中ではかなり小さい。SOHOや小規模ユーザーを主なターゲットとしている」と同氏。
そのほか、干渉波自動回避機能、ゲストポート機能といった機能も搭載されている。従来品からのリプレースも考慮して、取り付けプラグも従来品とそろえているという。
富山氏は新製品を開発した背景について、同社が行った調査から、古いWi-Fi機種を使い続けている企業、速度や電波エリアに不満を持つ企業が多いことが明らかになり、今後の追加導入やリプレースの意向が高いことを確認できたからと説明した。
パートナーを支援する営業体制とサポート体制拡大に注力
常務取締役の横井一紀氏からは、法人事業の、営業体制とサポート体制についての説明が行われた。同氏は、「現在、全国13拠点に4部、6課、6支店18営業所、3出張所を設置することで、必要な時にパートナーをサポートできる体制を敷いている。また、主要拠点にはフィールドエンジニアを配属しており、今後も育成が済み次第、配置を拡大していく」と述べた。
また、横井氏は販売店向けプログラム「VARパートナープログラム」に登録しているユーザー、事業所数が右肩上がりで増えていることを紹介した。同プログラムでは、販売支援、技術支援、情報提供を行っている。
ここ1年間はパートナーの数を増やすよりも深掘りに力を入れており、パートナー企業の社内のすべての部署と接点を持つなどの施策に取り組んできたという。
実際、こうした取り組みは成果を上げており、VARパートナー顧客満足度調査では、一定の結果を得られている。「フィールドエンジニアをこの1年で1.5倍に増員したほか、販売店様向けの研修プログラムは50本以上展開している。内覧会を行うなど、販売店様と接点を増やす活動をしてきた」(横井氏I
法人向け製品は長期の安定稼働実現がポイント
続いて、常務取締役 石丸正弥氏が、法人向けネットワーク製品・事業戦略について説明した。同氏は、法人向けネットワーク製品について、「中小から始まり、今ではさまざまな法人のニーズに応える製品を提供している。価格レンジも数万円から450万円までと、幅広い法人向けの製品を提供している」と述べた。
石丸氏は、法人向けネットワーク製品においては、長期の「安定稼働」を実現することに重点を置いているとして、「販売前」「稼働中」「稼働後」の3つのフェーズで施策を講じていると説明した。
販売前においては、製品の部品選定から品質評価まで、安定稼働を実現する基準を設定している。石丸氏は「実環境での使い勝手にこだわっている」として、教育機関に販売を行う際は、教室の疑似環境を構築して動作に問題がないことを確認して販売していることを紹介した。
稼働中においては、先に挙げた「キキNavi」により遠隔から機器の動作状況を把握できるようにすることで、管理・運用の負荷を軽減している。稼働後においては、データ復旧サービスや保守パックを提供している。
石丸氏はこうした取り組みについて「やればやるほどコストがかかるが、結果として、求めにくい価格になってはいけない」として、「引き算の開発」により、不要なコストを抑えつつ、顧客の導入負荷を軽減していると述べた。
「引き算の開発」とは、全国にいる同社のエンジニアが直接顧客の声を聞いてモノづくりに反映させることで、顧客が本当に必要な機能のみを製品に搭載していることを意味する。