米マイクロソフトは7月18日~19日(現地時間)にかけて、パートナー企業向け年次イベント「Microsoft Inspire 2023」をオンラインで開催している。

同社のパートナーは現在、全世界で40万社を超える。イベントでは、AIを活用した新しいソリューションや、パートナー向けプログラムが発表される予定だ。本記事ではメディア関係者向けに事前発表された、同イベントにおける主な発表内容を紹介する。

企業向けのAIチャット「Bing Chat Enterprise」

2023年5月から新しいBingの一般提供が開始された。同サイトでは、GPT-4をベースとした「Bing Chat」を利用できるが、企業での業務利用にあたっては、組織内のデータが保護されないことが懸念されていた。

米マイクロソフトは今回、企業の業務用データ保護機能が付いた「Bing Chat Enterprise」の提供を発表した。同サービスはAIを活用した業務用チャットだ。Microsoft 365 E5、E3、Business Premium、Business Standardのライセンスを持つ組織を対象に、追加費用なしで7月18日(現地時間)よりプレビュー提供が開始された。

Bing ChatがサポートされているBing.comやMicrosoft Edgeのサイドバーなどから、仕事用のアカウントを使って同サービスにアクセスが可能だ。同サービスでは、Webデータに基づいてグラフ、チャート、画像を含むビジュアルとともに、引用を含んだ検証可能な回答を返すことができる。

同社によれば、「責任あるAI」の原則に沿って設計されており、ユーザーとビジネスデータは保護され、外部に漏れることはなく、入力・出力内容は保護されるという。また、チャットデータそのものは保存されず、ユーザー企業のデータがモデルのトレーニングに使用されることもないそうだ。

同社は将来的に、スタンドアロンのサブスクリプションサービスとして、1ユーザーあたり月額 5ドルで同サービスを提供する予定だ。また、Windows Copilotからも同サービスにアクセスできるようになる計画だという。

  • 「Bing Chat Enterprise」の

    「Bing Chat Enterprise」

「Microsoft 365 Copilot」は1ユーザー・月額30ドル

同イベントでは、Microsoft 365 Copilotを、1ユーザーあたり月額30ドルで提供することが発表された。Microsoft 365 E3、E5、Business Standard、Business Premiumのユーザーは、一般提供開始後、同価格で同機能を利用できる。

同機能は、Microsoft Graph内のビジネスデータ(メール、カレンダー、チャット、ドキュメントなど)を基盤としている。また、既存のMicrosoft 365のセキュリティ、プライバシー、アイデンティティ、コンプライアンスポリシーを継承しており、ユーザーのデータは、Microsoft 365テナント内で論理的に分離・保護され、常にユーザーのコントロール下にあるという。

「Microsoft AI Cloud Partner Program」が開始

新しいパートナープログラムが、Microsoft AIとMicrosoft Cloudを活用した「Microsoft AI Cloud Partner Program」だ。

同プログラムでは、旧プログラムで提供してきたオンボーディング、スキリング、Go-to-Market、インセンティブ、共同販売などに加えて、AIに特化した新しいオファリングとベネフィットを利用できるという。同プログラムを利用するにあたり、パートナーに特別なアクションは必要ないという。

このほか、同イベントでは、Dynamics 365 Salesで新たに提供する「Microsoft Sales Copilot」やPower Automateで利用できるAIを活用したプロセスマイニング機能である「Power Automate Process Mining」なども紹介される予定だ。