通信ネットワークの展示会「Interop Tokyo 2023」が、幕張メッセ(千葉県千葉市)で6月14日から16日まで開催された。NTTは同社の次世代ネットワーク構想「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」の技術を活用したデモを披露。バーチャル卓球や、ロボットアームの遠隔操作などのデモを行い、遅延時間を従来の200分の1に抑えるという同技術の性能をアピールした。

【動画】NTTの「IOWN」を活用したデモ(Interop Tokyo 2023)

IOWNは、ネットワークから半導体の内部まですべてに光技術で情報を伝送する「APN(All Photonics Network)」を技術の核としている。光で伝送することで、電気よりも高速で大容量のデータを送受信できるだけでなく、消費電力を抑えられるとしている。

  • APN IOWN1.0の特徴

    APN IOWN1.0の特徴

このAPNを利用した4K画質のバーチャル卓球デモでは、幕張メッセと約100キロメートル離れたNECの我孫子事業場(千葉県我孫子市)をつないでVRによるバーチャル卓球を行った。遅延することなくラリーが続き、まるで同じ会場にいるかのような白熱した試合で会場が沸いた。

  • バーチャル卓球デモ

    バーチャル卓球デモ

従来のネットワークでは、高精細な背景画像を事前にダウンロードしてユーザーのモーション情報だけを送るといったような方法がとられていた。この方法では、高精細なVR映像の構成という負荷の大きな処理をユーザーのPCで行う必要があり、GPUを搭載した高額なパソコンを用意する必要があった。

しかし、超低遅延大容量のAPNを使うことで、クラウドのGPUで処理でき、ユーザーが高性能なGPUを用意する必要がなくなるとしている。「APNはメタバース普及の起爆剤になるもの」と同社は説明していた。

またNTTは、APNを利用することで伝送時間が常に一定になるという特徴を、ロボットアームを遠隔操作するデモを通じてアピール。会場からNEC我孫子事業場に設置されたロボットアームをコントローラーで遠隔操作し、動くボールをキャッチするというデモを披露した。

  • ロボットアーム遠隔操作デモ

    ロボットアーム遠隔操作デモ

遅延を感じないAPNによる通信では、ボールを見事にキャッチ。しかし、インターネット回線による通信では速度が安定せず、操作者は苦戦していた。インターネットのように速くなったり遅くなったりしないAPNの特徴が披露されると、来場者からは感嘆の声が聞こえてきた。

  • インターネットのように速くなったり遅くなったりしないAPN。操作者の動きとほぼ同時で遠く離れたロボットアームが動いた

    インターネットのように速くなったり遅くなったりしないAPN。操作者の動きとほぼ同時で遠く離れたロボットアームが動いた