イトーキは6月9日、近年、急速に進んだ働き方の多様化やデジタル化に対応した新しいオフィスの在り方や働き方を実現するデジタルソリューション&プロダクトに関する説明会をメディア向けに開催した。

同説明会には、イトーキの常務執行役員 スマートオフィス商品開発本部長である長尾和芳氏、執行役員 スマートオフィス商品開発本部 ソリューション開発統括部 統括部長の八木佳子氏、スマートオフィス商品開発本部 副本部長 プロダクト開発統括部 統括部長の羽柴千明氏が登壇。イトーキが考えるポストコロナの働く環境を概念化した「ITOKI Smart Office Concept」に基づき、「TechxDesign」によって働く人の創造性を刺激し、イノベーションの源泉となるようなオフィス環境と働き方を提案するソリューションとプロダクトを説明した。

ワクワクする「働く」という体験を提供できる環境をデザイン

同説明会で紹介された「ITOKI Smart Office Concept」とは、機能の実現と体験価値の創出を意味する「TechxDesign」で実現する創造的に健康的にいつでもどこでも協働できる働く環境のことを指す。

インテリア性を重視したオフィス家具や、働き方の課題を解決する空間設計を手がけてきたイトーキだから実現できる新しい働く場の提案だ。

「弊社では、『Tech×Design』により、『創造的に、健康的に、いつでもどこでも協働できる、働く環境』を実現していきたいと考えています。インテリア、ソリューションに加え、新たに働き方と働く環境を捉えるデータサービスを加えることで、アジャイルなオフィスを実現する。単なる機能の実現ではなく、ワクワクする素晴らしい『働く』という体験を提供できる環境をデザインし、ワーカーのマインドを高める。そんなオフィス環境を構築していきたいです」(長尾氏)

  • ITOKI Smart Office Concept について説明する長尾氏

次いで登壇した登壇した羽柴氏は、協働・共創・共生を実現するITOKI Smart Office Conceptの新製品を紹介した。

ハイブリッドワークとオフィス回帰の動きが入り混ざるアフターコロナを迎えた2023年の新製品は、より生産的で創造的な「行きたくなるオフィス」を実現し、「働くという素晴らしい体験と空間をプロデュースする」ことをテーマした製品となっている。

時間や場所を越えてダイナミックなコラボレーションを実現する「共働」、時間と場所を共有し、創造性を高める交流と共感を生み出す「共創」、そして人と地球にやさしい、持続可能なワークプレイスを実現する「共生」の3つをコンセプトとして掲げ、快適なハイブリッド会議の実現、居心地のよい空間、オフィスデータの活用などを提供するという。

ハイブリッドワーク時代に活躍間違いなしの4つの新製品

「コロナ禍で広がったハイブリッド会議ですが、新たな課題も顕在化しています。特に『相手がカメラをオフにしていて様子が分からない』『資料を説明していて相手の様子が分からない』といったコミュニケーションが上手く取れないという悩みが多く挙がりました。そこで、今回弊社からは、あらゆる打ち合わせスペースで快適なWeb会議が行えるように4つの製品を紹介します」(羽柴氏)

  • 新製品を紹介する羽柴氏

1つ目に挙げられた「Panora」は、ハイブリッド会議での疎外感やコミュニケーション不良を解消するハイブリッド会議テーブルだ。

製品を開発した背景には、先ほど羽柴氏が挙げたような「ハイブリッド会議中にWeb側のメンバーと会議室メンバーのコミュニケーションが難しい」という課題があるという。

この課題に対して同社が提案するのは、「タテ型からヨコ型」へのシフトだ。ディスプレイを会議室の長辺に設置するヨコ型のレイアウトを前提にPanoraを設置することで、Web側メンバーも会議室メンバーと対面して会議に参加できるようになる。

会議室視点からは、Webからの参加者を常に意識しながら対面のような会話が可能になり、Web参加者の視点では、会議室との一体感を感じられる映像を見ることができる。6人用と4人用のテーブルが用意されているため、用途や目的によっても使い分けることができそうだ。

  • ハイブリッド会議テーブル「Panora」

また、Web会議の音声を聞き取りやすく、漏れにくくする「Sound Furnitureシリーズ」には、「sound sofa」を新たに追加する。

背面に設置した指向性スピーカーにより、遠隔のメンバーの声がBoxの外側に漏れにくい設計となっており、テーブル中央に指向性マイクが設置されているため、半径1メートル以上離れた音を減衰して集音することができ、聞き取りやすい音声が遠隔の相手にも届く仕組みになっているという。

  • Sound Furnitureシリーズの新製品「sound sofa」

さらに、集中力・発想力向上、低ストレス・不安感低減などを実施することで「居心地の良い行きたくなるデザイン」を目指して、オフィスの木質化も推進する方針だ。

その中でも、「FEELS」は、国内初の不燃突板仕上げで規格化された木製パーティションで、無機質になりがちなスチールパーティションを木質化することで居心地の良い空間の演出に一役買っている。また、自然に人が集い、つながりを育む木製フレームシステムの「solmio」も用意されており、オフィスの木質化を推し進めていく考えだという。

  • 自社オフィス内でも木質化を進めている

スマホの位置情報からオフィスの「使われ方」を分析する

また最後に登壇した八木氏は、「アジャイルなオフィス実現のためのデータサービス」を紹介した。

「今後のオフィスの展開として、独自のデータの利活用で新たな価値を創出する必要があると考えています。パフォーマンスデータやコンディションデータなどの『評価データ』、生体情報や位置情報といった『活動データ』、そして家具データや機器データといった『使用データ』を分析することで、ワーカーがオフィスに求めていることを分析し、オフィスをアップデートしていけるようにしていきたいです」(八木氏)

  • 社内でのデータ分析を語る八木氏

「Performance Trail」は、2021年にリリースされたサーベイベースで組織と個人のパフォーマンスを診断するサービスで、メンタル、フィジカル、組織単位の幅広いコンディションと改善ポイントを把握できるものとなっている。

「Workers Trail」は、スマホなどによる位置情報を活用したワーカーの活動見える化サービスで、利用ポリシーに同意をしたワーカーのPCやスマホ、タブレットから、ワーカーがどこにいるかがわかるだけではなく、外出先や自宅からオフィスの座席予約やトイレの満空表示、オフィスの温湿度などの表示も可能となっている。

2024年には、この2つのシステムを組み合わせて、AIによりデータの解析なども活用しながら、オフィスがどのように使用されているかを分析することで、今後のオフィスの作り方に活用するといったことが可能な「ITOKI OFFICE A/BI」を提供するという。