【コロナ禍での苦境と気付き】森本光春・バリュースタッフ代表取締役の転機とは?

当社は、ホテル・ブライダル施設やレストラン向けの人材派遣・紹介を中心に、サービス業に特化した人材事業を展開している会社です。

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 私自身、ホテルの宴会部門でキャプテンを務めたり、サービス業向けの人材業で東京支店長を務めた経験から、「働く人のことを第一に考える企業」をつくりたい、それによってお客様であるサービス業の皆様も幸せにしたいという思いを強く持ち、2008年に起業しました。

 当社のパーパスは「ディーセントワークを推進し、世界をステキに」です。「ディーセントワーク」とは「働きがいのある人間らしい仕事」のことを言います。今、世界的にSDGs(持続可能な開発目標)の達成が叫ばれていますが、その8番目である「働きがいも経済成長も」の中で掲げられているキーワードから制定しました。

 サービス業界で働く人はゲストの方々の「感情を受け止めることができる」存在です。ゲストのお役に立ち、感謝の気持ちを受け取ることができる。それは何物にも代えがたい価値のあるものだと考えています。その価値を世の中に広げ、業界を盛り上げる一助になることも、私達の仕事だと思っています。

 2023年2月には働く人と求人者を直接つなげるマッチングプラットフォームアプリ「バリプラ」をリリースしました。働く人の賃金や評価、求人者の掲載、採用、給与支払いまでをワンストップで完結できるアプリになっています。

 そんな私の転機は、3年半にわたるコロナ禍です。私達の事業は人と人とが接触することによって成り立つ事業ですから、その流れが一気に止まりました。

 ですから一時、売り上げが3割以下に落ち込む一方、毎月の休業手当の支払いは数千万円という状態。助成金の決定がなければ持ち堪えられなかったと思います。ここまで追い詰められたのは、起業してから初めてのことでした。

 ただ、私達には起きた事象は変えられず、未来に備えるしかありません。この期間に、前述したプラットフォームアプリの構築を始め、事業を改めて見つめ直し、深掘りして考えることができました。

 政府はインバウンド(訪日外国人観光客)目標6000万人を掲げましたが、コロナ禍で多少変動があっても、確実にその方向に向かっていくと見ています。その中でサービス業を支える存在として、これからも邁進していきたいと思います。