電通グループ(dentsu)は6月1日、世界58市場から収集したデータに基づき取りまとめたという「世界の広告費成長率予測」の改定版を発表した。これによると、2023年の世界の広告費成長率は3.3%と予測しており、市場規模は初めて100兆円を超えるという。

2023年の世界の広告費成長率予測は、先行き不透明な経済状況が及ぼす消費活動の減少により、2022年12月に発表した前回の予測から0.2ポイント下方修正の3.3%となったが、市場規模は7279億米ドル(約102兆円)と、初めて100兆円を超える見込みだ。

また、世界の広告市場の成長を牽引するというデジタル広告は7.8%増となり、総広告費に占める割合は2022年の55.8%からさらに増加し、58.3%となる見通しとのこと。

  • 世界の総広告費の推移 出典: 電通グループ

地域別では、中東を除く、北米、西ヨーロッパ、中央および東ヨーロッパ、アジア・パシフィック(日本含む)、ラテンアメリカでプラス成長となり、市場規模のトップ5か国は2022年と変わらず、米国、中国、日本、英国、ドイツとなる見通しとしている。

2024年の世界の広告市場は、UEFA欧州サッカー選手権や米国大統領選挙など、大型スポーツや社会的に注目されるイベントなどの寄与により、2023年に対して4.7%増の7625億米ドルと同社は予測する。

また、2025年も2024年と比べて3.8%増となる順調な成長になるといい、市場規模は7918億米ドルになる見通しとのこと。

  • 地域別の成長率予測 出典: 電通グループ

なお、総広告費に占めるデジタル広告の割合は、2024年に59.1%、2025年には60.3%と、初めて60%台に達すると同社は予測する。

媒体別に見ると、デジタル広告の中でも、リテール・メディアが18.0%、コネクテッドTVが15.2%と高い成長を見込んでいる他、プログラマティックも14.4%の成長と見込んでおり、これらは2023年のデジタル広告費の71.4%を占めると同社は予測している。

テレビ広告は、一時的に-3.1%のマイナス成長となりますが、2024年以降は再びプラス成長に戻る見通しという。減少傾向にある新聞・雑誌は-4.8%となる見通しだが、OOH(屋外/交通)、シネマ、オーディオは、それぞれ3.8%、2.1%、0.8%の成長を同社は予測する。

2023年の日本の広告市場は、2022年12月に発表した前回の予測から0.5ポイント下方修正した1.0%の成長を見込んでいる。

ウクライナ情勢や欧米の金融機関の破綻など先行きが不透明な面があるものの、新型コロナウイルス対策の緩和に伴い、交通・レジャーや外食・各種サービスなどサービス関連の広告需要が拡大する他、市場成長を牽引するデジタル広告のさらなる伸長もあり、市場全体としてはプラスの成長を同社は予測する。

対前年成長率は、2024年は3.2%、2025年は2.7%になるという。

  • 媒体別の成長率予測 出典: 電通グループ

なお今回の予測は、2023年4月下旬までに、世界の58市場からデータを収集し、各市場における専門的な知見を取り入れて作成したとのこと。対象媒体は、デジタル、テレビ、新聞・雑誌、OOH、オーディオ、シネマ。

広告費は、交渉によるディスカウントやエージェンシー・コミッションを差し引いた金額で、現地通貨建てで提供しており、全世界および地域の数値は2023年4月の平均為替レートで米ドルに換算したとのこと。

予測は年2回を基本として発表しており、実績値と最新の予測値は全て恒常為替レートに基づき修正しているという。