【ずいひつ】フライウィール・横山直人社長が語る「企業に眠っているデータは宝物」

企業に眠っている様々なデータは宝物だ─。当社は企業が持っている様々なデータを統合・分析して検証し、課題解決までを一貫で支援するデータ活用プラットフォーム「Conata」を開発・運用しています。

 仕事柄、企業が保有するデータと接する機会が多いのですが、共通するのは企業内にデータがバラバラに存在し、形式も異なる仕様であるため、そのままでは利用できないことが当たり前になっていたことでした。

「もっと上手に活用すれば日本企業はまだまだ成長できる」─。こう強く思ったことが起業につながりました。では、どのようにして保有するデータを本業に活用すれば良いのでしょう。

 TSUTAYA書店を経営するカルチュア・コンビニエンス・クラブは店舗ごとの顧客や商品、店舗の関係性を分析し実売率(販売業へ出荷されたうち実際に売れた本の割合)が約20%*ほど改善し、予測精度を示すMAE(予測値と正解値の差)が約30%以上改善できました(*導入後2022年7月から8月の実績値を評価)。

 そもそも同社は全国に約800店舗、450万タイトルの商品、7000万人の会員を抱えていました。全国にお店があるわけですから、当然、売れる商品も地域性や季節性などがあり、バラツキがあります。しかも、A店で売れている商品がB店でも売れるとは限りません。地域に合わせた店作りを実現したい。そのためにはデータの活用が欠かせなかったのです。

 各店舗でバラバラだったデータを当社のConataを導入することで統合。情報を整理して共通のデータフォーマットにするオントロジー技術(情報を構造化し、整理する技術)でデータ分析を高速化しました。店舗ごとの顧客や商品、店舗との関係性を分析することで消費者の求める確率の高い商品を店長が発注できるようにしたのです。

 日本生活協同組合連合会(コープ)ではデータ活用によるDXをプロジェクトとして協業させて頂きました。約1年半で6つの施策を実施。使用したのはコープのECや店舗、宅配のデータです。結果、売上を落とさず、カタログ配布を約50%削減。売上を下げることなく使う紙の量を半分にし、顧客の体験価値は高まったということです。

 これらの事例に共通するのは、両社とも自ら膨大なデータを保有していたという点です。DXと声高に叫ばれますが、DXとはデータを活用して本業を成長させることが肝です。ところが、こういった事例はそんなに多くありません。ほとんどの企業はデータを統合し、使用し切れていないからです。

 そのためには、もっと事業間、企業間のデータ連携が必要です。分かりやすいところで言えば、流通でしょう。商品を開発・製造するメーカー、卸、そして量販店。これらが各自で持っているデータをつなげば、何が最適化を導き出せる確率が飛躍的に高まります。しかし現状、企業にとって宝物であるデータを他社に渡すことには抵抗があり、なかなか実現していません。

 私はNTTドコモやグーグル日本法人、フェイスブックで経験を積み、データが人々のエネルギーになることを肌身で感じてきました。データ活用は欧米で進んでいます。これを日本企業がやらない手はありません。

 製造業でのサプライチェ―ンでも〝つなぐ〟ことが突破口になっています。自らの手の内を包み隠さずオープンにすることがDX時代に自社の成長を促す第一歩となるのです。その供給網全体の最適化に力を貸せるのではないかと思っています。