日本初の営業利益3兆円に向けた【トヨタ】の〝稼ぐ力〟に課題

2024年3月期の営業利益3兆円─。トヨタ自動車が日本企業で初となる営業利益の実現に向けて動き出している。

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 この1年間は半導体不足に悩まされ、原材料高によるコスト上昇にも直面。22年度の世界生産の見通しを約1100万台としていたが、度重なる半導体不足が長引き、結果として913万台となった。ただ、部品の設計変更や代替品への置き換えなど自社で可能な工夫を講じた。

 社長の佐藤恒治氏は23年3月期の営業利益で2兆7000億円を確保できたことを受け、「実力的には前期を上回る結果を示せたのではないか」と語る。同社の収益力の源泉の一つが各地域での販売力の強さだ。他社のように販売が1国に依存せず、北米、中国、アジアなどで約1割から3割ずつ分散して販売。「グローバルに安定して収益を上げられる」(同)形だ。

 そしてもう一つがハイブリッド車(HV)の収益力の向上だ。1997年に発売した世界初の量産HVと比べても、現在のHVの原価は6分の1まで下がっている。ガソリン車と遜色ない利益を出せる水準と見られる。

 佐藤新体制になって続々と具体化されてきたのが電気自動車(EV)にまつわる戦略だ。同社は2026年までに世界で10車種、年150万台を、30年には30車種、年350万台のEV販売を目標に掲げる。22年度は3.8万台という中、24年3月期は20万台を目指す。

 それに伴い、EVに関連する投資も上積みする。4兆円から5兆円と1兆円積み増し、26年には次世代EVを投入。そのためにもEVの開発の仕方や発想も含めて既存のしがらみを断って「工場の景色をガラリと変える」(副社長の中嶋裕樹氏)。

 その意味でも、HVで培った稼ぐ力をEVでも展開できるかどうかが勝負所。テスラはEVのみの生産で主力車種も4つに絞る。値下げで利益率が下がっているとはいえ、営業純利益率も11.4%とトヨタを凌ぐ。

 一方でトヨタの懸念事項はダイハツで認証不正が発生するなど、グループ各社でものづくりの現場が揺らいでいることだ。「不正が起きてしまう環境を変えていく」と佐藤氏は語る。新体制発足早々、佐藤氏は緊張感のある経営が求められる。