日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)は5月25日、HPE Aruba Networking の成長戦略に関する説明会を開催した。
グローバルの成長戦略については、全世界営業部門の責任者であるアラン・カーペンター氏が説明を行った。初めに、同氏は同社のブランドについて、「これまで2つのブランドを使ってきたが、これからは統一されていく。そうした中、Arubaはネットワークブランドとして市場に浸透しており、残す価値があるとして、オレンジ色のコーポレートカラーも含めて残る」と説明した。
カーペンター氏は、HPE Aruba Networkingの戦略が3つの柱から成るとして、それぞれの柱について紹介した。
注目製品群「Wi-Fi」「Switching」「SD-WAN」「DCN」「P5G」「SASE」
1つ目の柱は同社が提供する製品群「Wi-Fi」「Switching」「SD-WAN」「DCN(データセンターネットワーク)」「P5G(プライベート5G)」「SASE」だ。これらについて、カーペンター氏は「われわれはデータセンターネットワークに投資することに決めた」として、DCNの重要性を強調した。
DCNに関しては、Pensandoを搭載するAruba CX 10000スイッチシリーズを提供している。PensandoはDPUで、提供元のPensando Systemsの取締役会長には元CiscoのCEOジョン・チェンバースさんが就任しており、同社は2022年にAMDに買収された。
P5GとSASEの強化に向けては、買収が行われた。ローカル5Gのオファリングを強化するために、Athonetを買収してエンタープライズ環境にプライベート5Gの接続を持ち込むという。また、SASEに関しては、セキュリティ・サービス・エッジ(SSE)を提供しているAxis Securityを買収する。Axis Securityの製品とArubaのエッジコネクトを統合することで、「ネットワークを収束し、ユニークな製品を提供できる」とカーペンター氏は語っていた。
HPE GreenLake Central/AI Platform
2つ目の柱は管理プラットフォームだ。同社はクラウドネットワーク管理プラットフォームとして「HPE Aruba Networking Central」を提供しているが、今回、最新版が発表された。
最新版の新機能の一つが「ソーラーシステム」ビューだ。これは複雑なネットワークをより適切に表現するビューで、直感的なナビゲーションによりマニュアル作業による見落としの軽減、問題の早期発見を実現する。
2つ目の新機能は「タイムトラベル」だ。この機能は、ネットワークの文脈に相関した「ポイント・イン・タイム(時点)」ビューを実現し、特定の時点まで数分で復旧を実現するもの。カーペンター氏は「過去にさかのぼって、その時の問題に直面できる、これまでなかった機能」と説明した。
3つ目の新機能に「サンバーストトポロジー」ビューがある。同ビューは、物理的論理的ネットワーク接続を直感的に視覚化し、従来の一画面でのノードリンク表示数を大幅に超えており、大規模なネットワークの可視化を大きく変えるという。
HPE GreenLake Network as a Service
3つ目の柱が、今回発表された、HPE GreenLakeによって展開するNetwork-as-a-Service(NaaS)だ。同サービスは、月額サブスクリプションにより導入、展開、管理が可能。
あわせて、パートナーによるオンデマンドネットワーキングの販売、エンドユーザーによる利用を容易にすることを目的に設計されたフレームワーク「Agile NaaS」も発表された。同フレームワークは6つの項目について、自社に適したモデルを選択できる。
加えて、HPE GreenLake for Aruba networking上でNaaSのサービスパックが3種類提供される予定だ。サービスパックは、ユーザーまたはパートナーが管理するものとArubaが管理するものに分かれている。第1弾として、今年11月以降に、HPE GreenLake for Aruba NaaS Service Packsが提供される予定となっている。
国内における3つの注力施策
続いて、日本ヒューレット・パッカード 執行役員 Aruba事業統括本部長 本田昌和氏が、国内におけるHPE Aruba Networkingの事業戦略を説明した。同氏は、「コロナ禍でビジネスが変わってきている。ArubaはWi-Fiだけの企業ではなく、トータルネットワークを提供している企業として認識されるようになってきた」と語った。
国内ではグローバルの戦略の下、「事業開発本部の新設」「One HPEの強みを最大限に活用」「カバレッジの拡大」に取り組む。「グローバルの戦略の下、広がっていくポートフォリオを生かしながら成長していきたい」(本田氏)
本田氏は、NaaS、DCN、SASE、SMB、WLAN/Campus、サステナビリティによって、顧客が抱える課題やニーズに応えることができると述べた。
例えば、NaaSはクラウド型サービス管理を提供することで、ユーザーにおける新技術の早期適用や管理負荷の低減を実現するほか、投資サイクルの平準化をもたらす。
また本田氏は、DCNについて、「現在、ハイブリッドクラウドが当たり前だが、そこではコンテナ、マイクロサービス、SASEが利用されており、細かなトラフィックが発生する。これらに従来のスイッチでは対処できないが、DCNであればデータセンターのトラフィックを削減できる」と説明した。
さらに、本田氏は「一番得意なWi-Fiやキャンパスネットワークでは、IT部門だけでなく、LOBにもソリューションを提供していく」と語っていた。