日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)は5月17日、Edge-to-Cloudプラットフォーム「HPE GreenLake」を拡充する、新たなストレージ製品「HPE Alletra Storage MP」を発表し、説明会を開いた。
同一のハードウェアでブロックとファイルに対応可能
今回発表したHPE Alletra Storage MPは、MP(マルチプロトコル)の名を冠する通り、HPE GreenLakeクラウドコントロールプレーンによってOS(Operating System)を切り替えることで、ブロックとファイルのどちらにも対応可能。現時点では未提供だが、将来的にはオブジェクトにも対応する予定だという。
同製品は、ブロックとファイルの両ストレージに共通するハードウェアとして提供される。コンピュートノードとストレージノードを分離し、共通化されたハードウェアプラットフォームとして展開するという。
HPE Alletra Storage MPは積み木のような構成だ。標準的な構成は、HPE Alletra Storage MPのシャーシとネットワークスイッチである。シャーシはI/Oモジュールを切り替えることでコンピュートとコントローラのどちらにも使えるほか、ストレージのためのJBOF(Just a Bunch Of Flash)としても利用可能である。さらに、単一のシャーシで両機能をまかなうこともできる。
従来のストレージシステムはコントローラとストレージ領域を搭載した仕組みが多かったが、同製品は100ギガビット・イーサネットに対応するスイッチも提供するため、異なるシャーシをまたぐ構成も組みやすくなっているという。各コントローラはスイッチを介してすべてのストレージ領域にアクセスでき、可用性とスケール性に優れるとしている。
HPEのストレージ製品本部でカテゴリーマネージャーを務める加藤茂樹氏は、HPE Alletra Storage MPハードウェアの特徴について「業界で最も使いやすいとされる2Uの筐体を採用したので、だれでも扱いやすい製品だと思う。コントローラを拡張する場合も、ストレージ容量だけを増やしたい場合も単一の筐体で対応可能なので、エンジニアの育成や特別なスキルを身に付ける手間などをかけずに導入できる」と、こだわりを語っていた。
HPEはブロック・ファイルのポートフォリオを拡充
HPE GreenLakeにおいては、「HPE GreenLake for Block Storage」と「HPE GreenLake for File Storage」としてサービスを展開する。まずは買い切り型のCpaex対応のみリリースし、2023年下半期をめどに月額課金型のOpex対応をリリースする。
ストレージ管理の「DSCC(Data Service Cloud Console)」から性能や可用性、利用期間などのSLA(Service Level Agreement)を選択すると、ハードウェアが届き構築できるようになる。Opexモデルでは、HPEが所有するハードウェアを用いてオンプレミスに環境を構築し、定期支払いや従量制での利用となる。
HPE GreenLake for Block Storageによって、同社は「HPE 3PAR」「HPE Primera」「HPE Alletra 9000」などのブロックストレージのポートフォリオをさらに拡充する。ミッションクリティカルなアプリケーションでの利用にも対応するために、100%の可用性を保証している。
一方で、HPE GreenLake for File Storageにおいては、ハードウェアはブロックと同一のHPE Alletra Storage MPを用いるものの、OSはVAST Data社製のものをOEM提供を受けて、HPE向けにカスタマイズしたOSを用いる。オールフラッシュのストレージでリニアにスケールアウト可能なため、エンタープライズ向けのワークロードに適するという。
データ保護のための取り組みを強化
HPEはデータ保護のためのサービスとして、「HPE GreenLake for Backup and Recovery」と「HPE GreenLake for Disaster Recovery」を発表した。前者は昨年に発表したサービスだが、今回新たに他社製のストレージやAWS(Amazon Web Services)上のデータにも対応を開始し、より柔軟なデータ保護が可能になったとのことだ。
HPE GreenLake for Disaster Recoveryは「HPE Zerto」アーキテクチャを用いてディザスタリカバリに対応可能なサービス。DSCCからメニューを選択することで、利用を開始できる。両サービスにより、ランサムウェア対策からバックアップ、アーカイブまで、幅広いデータ保護が可能になったとしている。
HPE執行役員の根岸史季氏は「企業が持つデータは用途や特性に応じて、適材適所で管理する必要がある。多種多様なデータの利活用を進める中で、あらゆる課題を解決できる単一のシルバーブレット(銀の弾丸)は存在しない。適材適所で使えるさまざまなサービスを同一のプラットフォーム上で提供することで、お客様を支援したい」と述べていた。