5月16日は「旅の日」だ。俳人・松尾芭蕉が1689年5月16日に、江戸を立ち奥の細道に旅立ったことにちなみ、旅の文化の向上を目指す「日本旅のペンクラブ」が1988年に旅の日を制定した。
「旅人とは何か」という思索をあらためて問いかけるべきこのよき日に、筆者は“近未来な旅”を体験した。具体的には、AR(拡張現実)グラスを着用して新幹線による移動を楽しんだ。サングラス型ウェアラブルデバイス「Nreal Air(エンリアル エアー)」を開発・提供する日本Nrealが同日、東海道新幹線の走行車内で同デバイスを体験できる「REAL Air Express Tour」をメディア向けに開催し、それに参加したのだ。
「Nreal Air」は、本体重量が約79gとサングラスのように軽量で、折りたたむとポケットにすっぽり収まるサイズになっている。一般的なVRグラスの約2倍のシャープさ、繊細で光沢のある画質を実現しているという。最大201インチのシアター級の巨大スクリーン(ARグラス越しに4mで130インチ、6mで201 インチに相当)で映像を楽しむことができる。
また、サウンド機能としては、ウルトラリニアスピーカーと大型サウンドチャンバー(音響空間)を搭載しており、低音強調アルゴリズムとノイズキャンセリングによって、臨場感を味わうことができる。
今回のツアーでは、「品川駅」~「名古屋駅」までの約1時間半の移動時間中、ARグラスを活用して、映像コンテンツを鑑賞したり、ポータブルゲームを楽しんだりした。景色を眺めながら移動するいつもの新幹線も好きだが、パーソナライズされたプライベート空間を満喫できる今回の旅も、あっという間に時間が過ぎてしまうくらい楽しめた。
またノートPCと接続し、実際に表示されている画面はもちろん、周りの人は見ることができない仮想的なデスクトップ画面を複数表示するといった、ARグラスならではの体験も行った。この機能により、公共空間であっても周りの目を気にすることなく、社内情報といった秘密性の高い情報にもアクセスしやすいだろう。
また、「Nebula for Windows」とコラボレーションしている、エンジニアおよびeスポーツプレイヤー向けのキーボードデバイス「GrabShell」も体験した。
「Nreal Air」の成長は数字に表れている。2022年のグローバルの販売実績は10万台を超え、米国ではAmazonベストセラーで1位を獲得、日本においてもAmazon売れ筋&ほしい物ランキングで1位を獲得している。
日本Nreal 代表取締役のJoshua Yeo(呂正民)氏は、「2022年のXR市場はMetaがVR分野、NrealがAR分野のトップとなった。単純なARグラスではなく、どのようなシーンでも活用できるスマートなグラスとして機能を強化していきたい」と述べていた。