帝国データバンクは5月2日、4月17日~4月30日の期間で全国2万 7,663社を対象に実施した「人手不足に対する企業の動向調査」の結果を発表した。
2023年4月時点における全業種の従業員の過不足状況を尋ねたところ、正社員が「不足」と感じている企業は 51.4%だった。例年4月は新卒新入社員が加わることもあり、月次ではやや低下する傾向があるものの、5 割を上回る結果となった。前年同月比で 5.5ポイント増加しており、4月としては過去最高を記録している。また、非正社員では 30.7%となり、4月としては4年ぶりに3割超の水準に上昇した。
正社員の人手不足割合を業種別にみると、「旅館・ホテル」が 75.5%で最も高かった。月次ベースでは 6カ月連続で業種別トップとなり、深刻な人手不足が続いている。
次いで、IT 人材不足が顕著な「情報サービス」も 74.2%で続いた。実際に企業からは「案件が多いものの人手が足りない、という状況が継続している」などの声が上がっている。さらに、「メンテナンス・警備・検査」(67.6%)は9カ月連続、「建設」(65.3%)は12カ月連続で6割超の高水準となった。
また、2024 年 4 月から時間外労働の上限規制が設けられることで「物流2024年問題」として注目されている「運輸・倉庫」も 63.1%と高かったほか、レンタカー業界などを含む「リース・賃貸」(60.7%)はコロナ禍以降で最も高くなった。
非正社員の業種別では「飲食店」が85.2%で唯一8割を超え、最も高い結果となった。飲食店は、パート・アルバイトなどを含む非正社員の就業者全体の7割以上を占めている特徴があるなかで、就業者数がコロナ前まで回復していない状態が続いている。次いで、正社員で業種別トップだった「旅館・ホテル」(78.0%)は、2番目の高水準となった。
その他、「飲食料品小売」(58.7%)や「娯楽サービス」(47.2%)など、個人向け業種が上位に多く並んでいる。