アドビは4月25日、全国の保育園・幼稚園児および小学生の保護者を対象にした、「子どもが学校で受け取るプリント類のデジタル化に関する実態調査」の結果を発表した。これによると、学校・保護者間の連絡手段のデジタル化について7割超がさらなる促進を期待しており、プリント類のデジタル管理は3人に1人以上が実施しているという。

同調査は同社が3月16日~22日にかけて、子供が保育園・幼稚園または小学校に通っている全国の保護者を対象にインターネットにより実施したものであり、有効回答者数は、保育園・幼稚園/小学校、男女で各125人の計500人。

学校・保護者間の連絡手段のデジタル化が進んだと思うか聞いたところ、「とても進んだと思う」が17.0%、「どちらかというと進んだと思う」が38.6%で、半数以上となる55.6%がデジタル化が進んだと回答した。

  • 学校と保護者間の連絡手段のデジタル化が進んだと思うか 出典: アドビ

学校・保護者間の連絡手段のデジタル化を進めるべきかについては、「進めるべきだと思う」が27.4%、「どちらかというと進めるべきだと思う」が47.2%で、計74.6%がさらなるデジタル化を進めるべきだと考えている。

  • 学校と保護者間の連絡手段のデジタル化を進めるべきだと思うか 出典: アドビ

保育園・幼稚園または小学校とのやり取りでデジタル化が進んだと思う項目を尋ねると、「欠席や遅刻の届け出」が40.0%と最も多く、以下「お知らせやおたより」(39.0%)、「給食の献立表」(33.2%)と続く。

デジタル化してほしい項目では、進んだと思うのと同じ3項目が上位3位を占めた一方で、4位の「保護者の署名やハンコなど承認が必要な届け出」は32.8%と、デジタル化が進んだと思う項目とのギャップが最も大きく21.8ポイントの開きがあり、今後のデジタル化への期待との差が最大だった。

  • デジタル化が進んだと思う項目とデジタル化してほしい項目(複数回答) 出典: アドビ

子供が学校などから受け取った紙資料をスキャンしてデータ化したり、写真を撮りスマートフォンで管理したりするなどの方法で、保護者がデジタル管理をしているか質問したところ、34.5%が現在行っていると回答しており、2019年の調査と比べて12.5ポイント増加した。

紙のプリントをデジタル化するために使用しているツールでは、「スマホカメラアプリ」が37.8%と最多であり、Adobe Scanが30.8%で続く。テキスト認識ができ検索性に優れるスキャン機能付きツールの利用が増加傾向にあると、同社は見ている。

  • 紙のプリントなどをデジタル管理した経験の有無 出典: アドビ

子供が受け取った紙のプリントをどのようにパートナー間で共有しているかを聞くと、「紙で家の中などに貼って共有」が54.6%で最も多く、「口頭で伝えて共有」が41.6%で続き、アナログ・コミュニケーションが根強いものの、「クラウド・ツールなどを活用してデジタルで共有」が29.4%と、約3人に1人がデジタル化して共有している。

  • 紙のプリントなどのパートナー間での共有方法(複数回答) 出典: アドビ

子供が受け取った紙のプリントをパートナー間で共有できずに困った経験があるか尋ねたところ、「頻繁にある」が16.3%、「ときどきある」が39.8%で、計56.1%が困った経験がある。この比率は、2019年の調査と比べて15.3ポイント増加した。

  • パートナー間で共有できず困った経験の有無 出典: アドビ

さらに、外出先で情報を確認できずに困った経験については、「頻繁にある」が17.7%、「ときどきある」が47.1%で、計64.8%が困った経験があり、2019年の調査と比べて14ポイント増加している。

  • 外出先で情報を確認できず困った経験の有無 出典: アドビ

今回の調査結果を受け、同社教育・ DX人材開発事業本部 執行役員 本部長の小池晴子氏は、「コロナ禍(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大)やGIGAスクール構想を経て、保護者の過半数が学校との連絡手段のデジタル化が進んだと感じている一方で、署名やハンコなど承認が必要な書類のデジタル化がさらに期待されていることが如実に表れる調査結果となりました。7割以上の保護者は学校とのコミュニケーション手段のさらなるデジタル化が必要であると考えており、働き方や生活スタイルの多様化を受け、より利便性と効率性を考慮したコミュニケーション方法が求められています」と述べている。