日立製作所(日立)は4月25日、役員報酬制度の改定を発表した。従業員だけでなく役員も、目標の達成度に応じて報酬を決定する。グローバル企業としてのさらなる成長加速に向け、企業価値の向上と報酬の連動をさらに強化する考えだ。

日立の執行役の報酬は、固定報酬である基本報酬、変動報酬である短期インセンティブ報酬(STI)および中長期インセンティブ報酬(LTI)から構成される。今回の改定では、株式報酬であるLTIを中心として変動報酬を拡大した。

  • 改定後の役員報酬制度の概要(執行役社長兼CEOの例)

    改定後の役員報酬制度の概要(執行役社長兼CEOの例)

具体的には、執行役社長兼CEOの場合、これまで1:1:1であった各報酬比率を1:1.2:2とし、その他の役員についてもこの比率を基本型として報酬比率を設定する。また、STI報酬に占めるサステナビリティ評価の割合を拡大し、サステナブル経営の強化を図る。

  • 短期インセンティブ報酬(STI)の改定内容

    短期インセンティブ報酬(STI)の改定内容

さらに、一定期間の継続勤務を条件に、譲渡制限付株式を事前交付する「譲渡制限付株式報酬」を導入しているLTIについては、今回の改定により、新たにTSR(株主総利回り)成長率のグローバル競合比較が追加された。

  • 中長期インセンティブ報酬(LTI)の改定内容

    中長期インセンティブ報酬(LTI)の改定内容

具体的には、TSR成長率とTOPIX(東証株価指数)成長率を比較した結果および報酬委員会が定めるグローバル競合比較対象企業群の株価成長率を比較した結果に応じて、基準株式数の0~200%相当分の譲渡制限付株式が付与される。また、2024中計終了年度である2024年度末の時点で、ROIC(投下資本利益率)およびサステナビリティ目標を達成した場合は、それぞれ基準額の10%相当の株式が追加で付与される。

また、従業員についても2024度中期経営計画で掲げる経営目標に基づいて賞与の評価指標を設定する。役員同様に賞与と同社のIoT基盤「Lumada」の売上などの2024中計の連動を化するとともに、ストレッチした業績目標の達成を目指すとのことだ。