LIXILは世界150カ国以上で事業展開し、5万5000人の従業員を抱える建材・設備機器の大手企業だ。同社はDXを新しい価値を創造するための取り組みとして捉え、レガシーシステムであるという課題に対し、SoR(Systems of Records)とSoE(System of Engagement)との分離により、CXとEXを進めている。
2月21日に開催した「ビジネス・フォーラム事務局×TECH+ EXPO 2030 DX Frontline for Leaders変革の道標」に、LIXIL 取締役 代表執行役社長 兼CEOを務める瀬戸欣哉氏が登壇。「LIXILの変革:DX推進による新たな価値創造」と題し、特別講演を行った。
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国内基幹システムは老朽化。バラバラなシステムをどうするか?
瀬戸氏は工業用間接資材の通信販売を行うMonotaROを創業、急成長させた後、2016年にLIXILの社長兼CEOに就任、同社を率いることになった。その裏側に、「普遍性を追求したかった」と経営のプロとしての挑戦の気持ちがあったことを明かす。
LIXILは2011年に当時のトステム、INAX、新日軽、東洋エクステリア、サンウェーブが統合して誕生した企業だ。その後、American Standard、GROHEなどのブランドも統合した。
このように合併・買収が多かったために、システムはバラバラ。さらに中心となった国内企業のシステムは、メインフレームを利用した古いシステムでソースコードすら残っていない。「1つのシステムに統合することは気が遠くなるような状況だった」と瀬戸氏は振り返る。
「(LIXILは)世界150カ国で10億人以上の生活を支えており、ある意味で社会インフラとも言える企業であるという観点から、モダンな会社にしていかねばという使命感を持ちました」(瀬戸氏)