NECは4月3日、AIの利活用に関連した事業活動が人権を尊重したものとなるよう、AIガバナンスの強化に向けて、経済産業省が2021年7月に公表した「AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン」や国内外の法令・ガイドラインに基づき、コーポレートガバナンス体制とAIガバナンスに関する全社規程を新たに整備したと発表した。
同日より同社でのAIガバナンスの運用を開始し、今後順次グループ各社へ適用を拡大していくという。これにより、生体認証を含むAI事業のリスク管理を強化し、社会から信頼される技術の開発と実装を進める方針だ。
体制の強化にあたっては、新たにAIガバナンス遂行責任者を定義し、取締役会やリスク・コンプライアンス委員会、外部有識者会議などとの関係を明確化した上で、コーポレートガバナンスとして位置付けた。今後、AIガバナンス遂行責任者の下でAIガバナンスを推進し、社内外の各部門・機能と連携することでガバナンス強化を実現するという。
なお、同社の新たなガバナンス体制と全社規程は、AI原則実践のためのガバナンス・ガイドラインにおける「アジャイル・ガバナンス」の枠組みに対応するように設計されている。
アジャイル・ガバナンスとは、AIシステムのように常に変化する環境とゴールを踏まえ最適な解決策を見直し続けるガバナンスのモデルとなる枠組みだ。具体的には、「①環境・リスク分析」「②ゴール設定」「③システムデザイン」「④運用」「⑤評価」「⑥環境・リスクの再分析」の6項目と2つのループで構成される。
アジャイル・ガバナンスをAIガバナンスに活用することで、AIと人権に関する社会的なリスクの変化や、社内でルール化したリスク対応の方法などを踏まえ、AIガバナンスのルールを将来にわたり柔軟に改善・更新することが可能だという。