首都圏で食品スーパーマーケットを経営するサミットとAIアルゴリズムの開発・ライセンス事業を展開するPKSHA Technology(以下略、PKSHA)は3月24日、AIアルゴリズムにより店舗の作業割当表の自動作成を支援するシステムを開発し、4月からサミット全122店舗で導入開始することを発表した。

  • 共同開発した「L.S.P.」の自動化システムイメージ(同社資料より)

    共同開発した「L.S.P.」の自動化システムイメージ(同社資料より)

サミットでは、アルバイト・パートを含めた従業員約18,000名の効率的な作業割当を行うため同社独自の人材配置手法「L.S.P.(レイバー・スケジューリング・プログラム)」を構築、1985年より運営している。前月予測売上計画に必要な作業量の基準値に対し、従業員スキルに応じて約200の作業項目や優先度など複数の要素を考慮した"10分単位"の作業の割当人員配置表を作成するもので同社の店舗経営を長年支えてきたが、表作成の時間と負担、属人性などを考慮に入れて今回、AIの社会実装に多くの実績を持つPKSHAと共同でソリューションの開発を行った。

システムは、膨大な組み合わせから特定条件下で目的関数を最大・最小にする解を求める数理最適化アルゴリズムを採用、「出勤者データ」「作業・時間帯ごとの作業割当ルール」「作業区分・作業者の優先順位」などのパラメーターから10分刻みの作業割当表を数万通り自動で作成し、最適な1パターンの提案を行う。

2022年9月から6店舗で試験的に導入が行われ、作業割当表作成に1日30分から1時間かかった所を10から20分に短縮することが可能になった。システム導入により、2週間先まで作業割当表の作成が可能になる他、各店舗の特有の条件や従業員の出勤依頼や変形労働等に早期に対応し、特定従業員に偏らないバランスのとれた勤務シフトの作成が可能になるなどの効果も見られたという。同社では、年間で8万時間程度の時間削減と人件費換算で1.2億円に相当するコストダウンを見込んでいる。