突き詰めてもキリがない生産性。生産性改善のためのアドバイスは数あれど、その中には、必ずしも生産性アップにつながらないものもある。そこで、Nir Eyal氏が提言している3つのポイントを紹介する。
1. マルチタスクはすべてNGではない
複数のタスクを同時平行するマルチタスク。スマホなど小型デバイスがマルチタスクなのは助かるが、人間が複数のタスクを同時進行で進めることはあまり現実的ではない。
人間の脳は、複数のことを同時にするようにできていないという。業務上の重要な会話をしながら、顧客向けにメールが書けるだろうか?
マルチタスクをやろうとすると、機能的に考えたり動くことができなくなるし、不安や焦りが増大する。一方で、可能な組み合わせはある。歩きながら電話する、掃除しながらポッドキャストを聴く、などだ。
特に「軽い運動と考える作業の組み合わせ」は、創造力のアップにつながるとのこと。確かに、ジョギングしているときに良いアイデアが浮かんだ経験がある人もいるだろう。マルチタスクは必ずしも生産性の敵ではない。組み合わせが正しければ、時間の節約と結果の改善につながる。
2. To-Doリストの落とし穴
To-Doリストらしきものを誰しも作っているだろう。誰にメールする、提案書を作るなど、To-Doとしてやらなければならないことを書き出すことは、抜けや漏れを防ぐだけでなく、頭の中の整理につながる。
だがTo-Doリストにも落とし穴がある。「生産的であること、つまり時間を効果的に使うこととタスクを終わらせることはイコールではない」という。
長期的な目標に向かって何をすべきかが考慮されない点を指摘する。つまり、その日、その週にやる短期的なことに目がいきすぎて、大きな目標を達成できなくなると言うのだ。 実際に、To-Doリスト化できるものとできないものがある。長期的な目標を達成するためには、“考える”や“調べる”、さらには“人間関係の構築”など、リスト化が難しい作業が必要になることが多い。
そして、単純に進められないものを人は後回しにする傾向がある。「To-Doリストをこなすことに満足を感じ、本質的なタスクから目を逸らさないように」とアドバイスしている。
3. 「準備」よりも「スタート」
何かを始める前に準備をする、あるいは計画を立てることだろう。だが、「とにかく始めること」が肝要だ。だいたいのことは走りながら学べるという。
準備ができたかどうかを気にすることは、アウトプットの基準を高くしてしまうことになる。目標や成果にあまりにフォーカスしすぎて、そこに至るまでの歩みを進めることができなければ、たどり着くことはできない。むしろ、そこに至るまでの歩みにフォーカスして、始めることが大切だと指摘している。
人は経験から学ぶ。準備段階は頭の中で想像することしかできない。まずは始める、そして学び、修正しながら目標に向かって進むと言う姿勢が大切だ。目標を到達できる人間になるために、一歩を踏み出そう。
これら3つのポイントはスタートアップ向けビジネスサイトのInc.が「3 Productivity Myths That Are Making Your Life Way Harder Than It Has to Be」として紹介している。Inc.の記事は、集中をテーマにしたビジネス書「Indistractable」を執筆したEyal氏のMediumの投稿を紹介したもの。