米Akamai Technologies(Akamai)の日本法人アカマイテクノロジーズ(アカマイ)は3月2日、事業戦略発表会を開催し、Akamaiの今後のビジョンと戦略について説明を行った。

Akamaiは世界有数のコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)事業者。世界135カ国4200超の拠点に分散するサーバ群によって、分散型のクラウドセキュリティーサービスを事業者に提供している。同社は2月14日、IaaSやコンテナ環境、ストレージ、データベースなどを提供するクラウドサービス「Akamai Connected Cloud」を発表した。

同発表会に登壇したAkamai CEO 兼 共同創業者のトム・レイトン氏は「業界をリードするソリューションを備えた世界で最も分散されたクラウドプラットフォームで勝負する」と語った。

  • Akamai CEO 兼 共同創業者のトム・レイトン氏

    Akamai CEO 兼 共同創業者のトム・レイトン氏

2023年第2四半期末に稼働を予定している新しい3つサイトには、Akamaiが2022年に買収した開発者向けクラウド・インフラ・プロバイダーの米Linodeから取得したすべてのクラウドコンピューティング・サービスが格納され、Akamaiが年内に世界中で展開予定の10カ所の新規コアサイトのテンプレートにもなるとしている。

また、新しいコアサイトの展開に加えて、従来のクラウドプロバイダーではカバーすることが難しいとされるネットワーク過疎地域に基本的なクラウドコンピューティング機能を提供するために、年内に分散型サイトを展開する予定の50超の都市を選定した。

さらに、クラウドのエグレス(クラウドから外に向かう通信)転送料の削減にも成功しているという。積極的な価格設定を行い同社独自のネットワークの効果を活用しCDN型の経済性をクラウドデータの転送にもたらした。「このエグレスの価格はハイパースケーラーや他のクラウドプロバイダーに比べるとかなり低い」と、レイトン氏は断言した。

続いてレイトン氏は、Akamai Connected Cloudが提供する3つのサービス「CDN」「サイバーセキュリティ」「クラウドコンピューティング」それぞれについて、今後のビジョンを説明した。

CDNについては、「スケーラビリティ、パフォーマンス、信頼性、効率性に優れた、世界トップクラスのアプリケーション配信プラットフォームであり続ける」(レイトン氏)と説明。

またサイバーセキュリティについては、「あらゆる形態のサイバー攻撃からエンタープライズとそのユーザーを守る」と述べた。続けて、「今、Webアプリケーションファイアフォール(WAF)だけのセキュリティでは不十分だ。サイバー攻撃者は常に進化しており、システムのIDやパスワードは簡単に盗めるような状況になってきている。認証を強化し、攻撃者やウイルスが侵入してきたとしても、拡大しないようにセグメンテーションをすることが必要だ」とセキュリティの重要性を説明した。

そして、クラウドコンピューティングについては「低コストで透明性の高い価格設定を行い、ビジネスとユーザーがつながる場所の近くで、開発者フレンドリーな使いやすいコンピューティングを提供していきたい」というビジョンを掲げた。「10年先のニーズを見据えたクラウドの構築を実現していきたい」(レイトン氏)

日本国内に向けてもAkamai Connected Cloudを積極的に展開していく。2022年現在、同社の顧客数は800社を超えており、「今後はクラウドコンピューティング事業を加速させていく」と、アカマイ 職務執行者社長の日隈寛和氏は意気込みを見せた。

  • アカマイ 職務執行者社長の日隈寛和氏

    アカマイ 職務執行者社長の日隈寛和氏

続けて日隈氏は、「キーワードは『コネクティッド』。超分散処理技術を生かして、つながる社会を作っていく。世界で最も分散されたクラウドプラットフォームから先進のソリューションを届けていきたい」と、発表会を締めくくった。