住友商事は2月28日、東南アジア地域でのヘルスケア事業拡大を目的として、医療データ活用の知見を有するシンガポールの戦略コンサルティングであるRoland Berger Pte.と協業契約を締結したことを発表した。両社は2023年度から医療データ分析を通じた医療費抑制に資するサービスを展開するとしている。

近年東南アジアではスマートフォンの普及や、AI(Artificial Intelligence:人工知能)などのテクノロジーの発展により、医療アクセスの多様化と個別化が進んでいる。さらには、医療の主体が患者自身に主体化する動きもある中で、東南アジアではデータを有意義に活用するための仕組みが不十分だという。

そこで、住友商事はこうした課題の解決に向けて、ベトナムとマレーシアでマネージドケア事業を展開している。マネージドケア事業とは、主に公的医療制度が充実していない国で発展しつつある管理医療システムで、企業および民間医療保険会社、マネージドケア事業者、医療機関の三者が連携して医療サービスを提供する仕組みを指す。

両社は今後について、マネージドケア事業で得た医療データの活用を進め、東南アジア全域における医療費の抑制・適正化を目指すとのことだ。具体的には、個人の携帯アプリなどを通じた適正価格の病院・クリニックへの誘導、慢性疾患のレベルに合わせた健康・服薬指導プログラムの開発などに着手する。

  • マネージドケア事業の概要図

    マネージドケア事業の概要図