今、多くの企業で取り組みが進むデータ活用。蓄積されたデータを活かすことで、さまざまな構造改革を推進すると謳う企業も多い。だが、データ活用は本当にビジネスや業務の構造にまで影響を及ぼせるのだろうか。
今回、DXを推進する企業のデータ活用をサポートするフライウィール 代表取締役の横山直人氏に、業務の構造改革につながるデータ活用の在り方について事例を交えたお話を伺った。
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なぜデータ活用が業務の構造改革につながるのか
横山氏は、「なぜデータ活用が業務の構造改革につながるのか」という質問に、「データを活用することで、ビジネスの意思決定をデータドリブンで行えるため」だと答える。意思決定をする際、理想を描くことはもちろん必要だが、データ活用によって現状を把握するプロセスが入ることで、決定内容に数値的な根拠が生まれ、結果を適切に評価することが可能になる。日系企業を経て、Google社、Facebook Japan社で技術開発に従事した経験を持つ同氏は、外資系企業が数字ベースのアクションをし、データドリブンでビジネスを行えているのに対し、「きちんとした結果を評価できている日系企業は多くはない」と語る。
結果の評価が曖昧なままでは、ただデータを分析しただけで終わってしまい、業務の構造改革にはつながらない。構造を改革するフェーズまで持っていくために重要なのが「いかに未来を予測するか」である。
例として、製造業の会社を想像してみよう。まずは会社の売上や利益、販売個数、売れている商品の傾向などのデータを活用し、経営全体の状態を理解することが最初のステップだ。さらにデータを分析することで、顧客が今どんな商品に関心を持っているのかを知る。それを基に、「では在庫をどれくらい増やしたら、売上はいくら増えるのか」「在庫を増やすための工場はどこにどのくらいの規模で建設すれば、利益を担保できるのか」といったことをシミュレーションするのが、未来を予測する部分だ。このシミュレーションを、スピード感を持ってしっかりとできるようになると、より高い確度で業務の構造改革をすることができ、より戦略的な成功を収めることにつながると横山氏は言う。
また、同氏は日本企業がデータドリブンな意思決定をする際のポイントとして、KPIの設定方法を挙げる。アクションをする際の指標となるKPIだが、漠然とした項目での設定ではなく、より業務に落とし込みやすくブレイクダウンした項目を指標とすることが必要だという。自身の経験から見ても、「データドリブンな意思決定ができている外資系企業は、KPIの設定の仕方が上手い」と語った。