IDC Japanは12月13日、国内企業327社を対象に、企業のIoT推進の目的やIoT推進に必要となる技術、人材、組織戦略、協業状況などについて調べた「IoT担当者調査」の結果を発表した。

  • 利用しているIoTプラットフォームの種別(出所:IDC Japan)

    利用しているIoTプラットフォームの種別(出所:IDC Japan)

それによると、IoTに取り組んでいる企業がメインのIoTプラットフォームとしてクラウドベンダーのIoTプラットフォームを最も利用しているという。IoT活用の取り組み(情報収集/検討段階を除く)をしている企業のうち、21.5%が最も活用しているIoTプラットフォームとして「クラウドベンダーのIoTプラットフォーム」と回答した。 昨年の調査では、その割合は1割程度であったことから、クラウドベンダーのIoTプラットフォームの利用が進んでいることがわかる。

IoTの導入目的別にその達成度を見ると、「物流、サプライチェーンの改善」で目的達成度が高く、「従業員の生産性や満足度の向上」や、「経営戦略や事業計画の策定、売上予測」では目的達成度が低かった。「物流、サプライチェーンの改善」では31.4%が「ほぼ想定通りに達成している」と回答している一方、「従業員の生産性や満足度の向上」では10.0%、「経営戦略や事業計画の策定、売上予測」では13.9%に留まった。

「物流、サプライチェーンの改善」では取り組み段階が進展している企業の割合が高いのに対し、「従業員の生産性や満足度の向上」では低く、目的達成度の差につながっている。また、「経営戦略や事業計画の策定、売上予測」では、取り組み段階が進展している企業の割合が高いにも関わらず目的達成度が低く、IoT導入後のデータ活用などの段階に課題があるとIDCはみている。

IoTに取り組む企業は SIer(System Integrator)に、ビジネス上の問題解決/コンサルティング能力など、ビジネスの結果に結び付く支援を期待していることも分かった。IoTの取り組みにおいて最も深く関わっている事業者として、「大手SIer/ITサービス事業者」と回答した企業のうち、事業者を選定する上で重視する点として「ビジネス上の問題解決/コンサルティング能力」を挙げた企業の割合は約54%であり、全体の回答者に占める割合の4割弱より顕著に高くなっている。

IDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーの山下頼行氏は、次のようにコメントしている。「IoTプロジェクトにおいて、SIerはプロジェクト管理能力や調整力に加え、自身のデジタルトランスフォーメーション(DX)の実践経験などを踏まえ、ビジネス上の課題解決につながるコンサルティングを含むサービスを提供すべきである。その際、IoT導入が売上向上やコスト削減などの顧客の目的に資するかを見極め、適切な助言を行うべきである」