NICEの日本法人であるナイスジャパンは12月2日、さまざまな業種のDX(デジタルトランスフォーメーション)やCX(Customer Experience:顧客体験)、および情報システム部門の担当者を対象とするプライベートイベント「NICE CX Conference2022」を東京都内で開催した。

同社は2021年12月に、CX担当者との情報交換の機会として「Interactions Live Japan」を開始した。今回のイベントもそうした取り組みの一環となる。

  • 「NICE CX Conference2022」会場の様子

    「NICE CX Conference2022」会場の様子

イベントの冒頭に登場したナイスジャパン社長の安藤竜一氏は「当社はCXの高度化や生産性の高い現場を支援する立場として、2022年はたくさんの人とのつながりを大事にする1年だった。これまでコンタクトセンターはコスト部門として扱われる場面が多かったが、最近は徐々にプロフィット部門になる流れを感じており、企業の収益に大きな効果をもたらせる存在になりつつある。当社のソリューションはそのようなプロフィット部門化の流れに貢献できる自信があり、今後さらに機能を強化していく」と来場者に挨拶を述べた。

  • ナイスジャパン 社長 安藤竜一氏

    ナイスジャパン 社長 安藤竜一氏

続いてソリューションコンサルタントマネージャーの望月智行氏が登壇して、「消費者の行動の変化にコンタクトセンターからできること」をテーマにCXの最新動向を語った。

  • ナイスジャパン ソリューションコンサルタントマネージャー 望月智行氏

    ナイスジャパン ソリューションコンサルタントマネージャー 望月智行氏

昨今はスマートフォンの高機能化や多様なアプリケーションの出現によって、日常生活の多くの作業がスマートフォンのみで完結できるようになってきた。これに伴い、消費者もスマートフォンで完結するような行動を求めるようになっている。

Webサイトの閲覧やEC(Electronic Commerce:電子商取引)サイトでの購買などにおいて不明点や疑問、不都合などが生じた際に、多くの消費者はまず自己解決を試みる傾向がある。同社が実施したアンケート調査の結果によると、約8割の消費者が企業に問い合わせる際の初期行動としてインターネットでの検索や企業サイトのFAQページの閲覧、チャットボットへの問い合わせを選択するという。

  • 約8割の消費者がまずはWebサイトなどで自己解決を試みる

    約8割の消費者がまずはWebサイトなどで自己解決を試みる

このように消費者の問い合わせ行動が変化する中で、さまざまな企業が電子メールやチャットボット、電話など複数のチャネルを用意して問い合わせに対応しているが、チャネル数の増加に伴って時間や金銭的なコストも膨大となる点が課題だ。

一方で、多くのチャネルを用意しても自己解決につながらない場合には、顧客満足度低下の要因となる。Web検索や企業サイトのFAQページを見ても解決せずにコンタクトセンターへ電話を掛けた場合、その時点で顧客満足度はすでに低下しているのだ。

複数の問い合わせチャネルを用意する場合、それぞれに対応するシステムを導入することで必要な管理コストは増加するが、これを一元管理可能にしたのがナイスジャパンが提供する「CXone」だ。CXoneはクラウド型で提供するコンタクトセンター向けプラットフォームである。さまざまなチャネルを同一のUI(User Interface)およびUX(User Experience)で管理できるようになるため、コンタクトセンターでの効率的な運用に寄与する。

  • 複数のチャネルでのコミュニケーションをCXoneで支援する

    複数のチャネルでのコミュニケーションをCXoneで支援する

ナイスジャパンはAI(Artificial Intelligence:人工知能)を搭載したバーチャルエージェント「CXone Smart Assist」や、ナレッジ管理システム「CXone Expert」などのサービスも展開し、コンタクトセンターを包括的に支援する。CXone Expertは社内向けのナレッジ蓄積のみならず、社外向けに公開することで「よくあるお問い合わせ」のリッチ化も見込めるとのことだ。

望月智行氏は「当社はCXを水物(運や状況に左右されやすいもの)だと捉えている。『今日はこのやり方でできているから明日も来年も同じやり方で大丈夫だろう』と思うのではなく、常に変わり続けている世の中に対してきちんと追従することが重要。テクノロジーを上手に活用して顧客に対してあらゆるタッチポイントで最高の体験を提供することが大切」と語った。

さらに続けて、「しかしそれ以上に大切なのは、日々多くの顧客の声が集まるコンタクトセンターにおいて、どのような問題で顧客が困っていて、その問題をどのように解決できるのかを適切に捉えること。そして、その情報を発信すること。コンタクトセンターの担当者は組織の中だけを見るのではなく、視野を広げて世の中の消費者がどのような行動を取るのかを観察し、自社のサービスをコンタクトセンターが引っ張っていけるような企業になってほしい」と、参加者にメッセージを送って講演を締めくくった。

  • 各タッチポイントでの適切な顧客サポートが大切

    各タッチポイントでの適切な顧客サポートが大切