Kaspersky Labは11月28日(現地時間)、「Privacy predictions 2023」において、2023年におけるプライバシーの状況に関する予測レポートを公開した。同レポートは、インターネットの分断化がローカライズされた行動追跡やデータ転送チェックにつながること、スマートフォンが紙やプラスチックカードに代わるIDとしてもっと使われるようになること、メタバースのプライバシーに関する懸念が高まることなどを予測している。
Kaspersky Labでは、2022年に発生した地政学的および経済的なイベントと新しい技術トレンドが、2023年におけるプライバシーの状況に影響を与える主な要因になると指摘。その上で、これから起こり得る主な変化として以下を挙げている。
- インターネットの分断化が、より多様でローカライズされた行動追跡とデータが国境を越える際のチェックの厳重化につながる。欧州ではGDPRや中国やロシアでは当局によるWebトラッキングシステムが利用されているが、より多くの国がこれらにならう可能性がある
- スマートフォンは、より多くの紙の文書やプラスチックカードに取って代わり、IDとしての利用が普及する。一方で、スマートフォンに保存される個人データの量が増えることで、スマートフォンが単一障害点となる危険性がある
- 企業は、サイバーセキュリティにおける人的な要因を排除するために、内部関係者の脅威やソーシャルエンジニアリングの防止を強化する。企業はサイバーセキュリティの意識を高めるためのより徹底したユーザー教育に投資する可能性がある
- メタバースのプライバシーに関する懸念はさらに高まる。メタバースが実現する世界は人々にセキュリティ上の懸念を抱かせるかもしれないが、それはIoTやスマートフォンでも発生し、克服されてきたものである
- 企業はデータ漏洩の防止を強化し、損害を補填するための保険をかけるようになる。個人情報の盗難による損失を補填するサービスはすでにあるものの、将来的にはより幅広い保険の提供が期待できる
同レポートでは、デジタルの世界が物理的な領域への浸透を続けているため、今後さらに興味深い展開が予想できると指摘している。