京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は11月24日、北海道石狩市に新設する、再生可能エネルギー100%で運営するゼロエミッション・データセンターについて、2024年秋に開業すると発表した。

同社は2019年に同データセンターの計画を発表したが、当初予定していたベースロード電源の計画変更により、あらためて電源構成およびデータセンター設計を見直していた。2022年12月からデータセンター建設に着工し、2024年秋に開業される予定。

同センターは、地域の豊富な再エネ電源を活用するとともに、同社所有の太陽光発電所をデータセンターの近隣に新設し、それらの再エネ電源を直接利用する。それに加えて、複数の再エネを「信頼性」「環境性」「経済性」を同時に確保しながらデータセンターを運営するために、蓄電池とAI技術を活用した電力需給制御の仕組みを独自に構築する。これらの取り組みにより、データセンターを再エネ100%で運営し、データの国内分散保管や脱炭素化を推進している企業や官公庁・自治体に活用してもらう計画になっている。

現在、2050年カーボンニュートラルの達成に向けた再エネの地産地消や、政府が推進する「デジタル田園都市国家構想」におけるデータセンターの地方分散が重要なテーマとなっている。また、非化石証書などの環境価値の購入により環境負荷をプラスマイナスゼロにする「実質再エネ」の導入も進んでいる。こうした中、データセンターなどの大規模な需要施設においては、安定した再エネ電力と経済性の確保が課題となっており、「再エネの直接利用」の実現は容易ではないという。

同社は、自社の太陽光発電所を新設し、それらの再エネ電源を直接利用することで、データセンターを再エネ100%で運営する計画としている。

同社は、石狩市における「再生可能エネルギー100%で運営するデータセンター事業」を通じて、再エネの地産地消の可能性を実証するとともに、国内でのデータ分散保管や、データセンター技術者・エネルギー関連技術者などの雇用創出による地域活性化への貢献を目指していく方針。