富士通と和歌山県立医科大学は11月21日、「行動分析技術 Actlyzer(アクトライザー)」を活用した見守り技術を用いて、転倒などの状況を早期に発見し骨折などの重症化リスクの低減を目指す共同実証実験を開始すると発表した。Actlyzerはカメラを使わずにミリ波センサーで人の姿勢を推定し、姿勢の変化から行動を詳細に検知する富士通のAI(Artificial Intelligence:人工知能)技術。まずは病室などプライバシー性が高い施設において実証を開始する。

全日本病院協会は2021年度、国内18病院において1カ月あたり約290件の入院患者の転倒が発生していると報告した。高齢者の転倒は重大な障害につながるリスクが高く見守りが必要だが、病室にカメラを設置する見守り技術は患者のプライバシー保護の観点から導入が難しいようだ。

そこで富士通と和歌山県立医科大学は、カメラを使わないプライバシーに配慮した見守り技術を用いて病院などにおける高齢者の転倒状態を早期に発見し、迅速かつ適切な対応を促して骨折などの重症化リスク低減を目指す実証実験を開始するという。

  • 実証実験の概念図

    実証実験の概念図

実証実験では、室内に設置したミリ波センサーから患者の姿勢を点群データとして収集し、富士通の見守り技術を用いて転倒や転倒につながる動作を検知した結果について、ベッドの周りに設置した離床センサーのログや実証実験用に設置したカメラ映像などと比較する。これにより、富士通の見守り技術が適切に検知できているか有効性を検証する。

また、富士通はミリ波センサーから収集した点群データにより転倒や転倒につながる動作特有の身体の動きを分析する。点群データは電波の照射と対象人物からの反射で取得されるためカメラ映像とは異なり個人を特定する情報を含まず、プライバシーに配慮した見守りが可能だという。

和歌山県立医科大学は富士通の分析結果を医療現場の知見を用いて評価し、富士通はその評価結果に基づき見守り技術のさらなる改善を進める。2023年度末までに病院などの施設向けにプライバシーに配慮した見守り技術のサービス化を目指すとしている。