富士通と帝国データバンクは11月9日、2022年4月から9月まで実施した「日本版eシール(以下、eシール)」の社会実装に向けた実証実験の結果に関する報告書を公表した。
eシールはデジタル文書の発行元企業の真正性を保証する技術だ。今回の実証実験では、実業務の場面における法人組織間でのデジタル文書の受け渡しを想定して、「Box」を利用した文書の受け渡しを行う際にeシールの付与および検証の操作を行うことで、eシール利用の有用性を確認した。
eシールの発行と検証のプロセスは以下の通りだ。まずはステップ1として、eシールを利用したい法人Aは、Boxと連携された「Data e-TRUST」および帝国データバンクが事前に法人の実在性を確認して発行した「信頼できる法人アカウント」により、eシール用証明書を取得する。
次に、ステップ2として法人アカウントを取得した法人AがBoxで受け渡しを行いたいデジタル文書のeシール付与を申請すると、Boxと連携しているData e-TRUSTよりeシールが付与される。
最後に、ステップ3として法人Aはeシールが付与された文書を、別環境のBoxを利用して法人Bへ受け渡す。Data e-TRUSTおよびeシールにより、その文書の発行元の検証を行う。
実証の結果、eシールの利用による有用性が確認できたとのことだ。加えて、eシールを社会に普及させていくために必要となるユーザビリティへの考慮事項や、導入を促進するための仕組みについての課題や検討事項も抽出できたという。
さらに、将来的には日本と規格が異なる欧州の法人向けデジタル署名との連携も目指して、日本の企業が欧州支社や欧州拠点の別企業との取引でもeシールを活用できる技術や仕組みを開発する予定だとしている。