凸版印刷は11月7日、ディー・エヌ・エー(DeNA)と共同で、メタバース空間におけるアバターの真正性付与/証明に関する公開実証実験を開始した。DeNAが開催するメタバース・イベントである「Mobage 3D Park」の参加者が、凸版印刷が提供するアバター生成管理基盤である「AVATECT」を使用して、真正性情報をアバターに付与可能にする。
メタバースでは、国際的な倫理規定や新たな技術に対するルール策定が進んでいないことに起因するリスクが普及の課題になっているといい、匿名性の高いキャラクタ・アバターの不正利用や、バーチャル店舗における店員や窓口職員などの接客業務におけるなりすましなど、新たなリスクが考えられるという。
同社は、アバター本体の管理や本人認証に加え、アバターに電子透かしや、NFT(非代替性トークン)を付与するというAVATECTを2022年2月に開発し、メタバースに参加する個人や企業に安全/安心な体験や経済活動の場を提供することを目指している。
今回、DeNAが運営するSNSである「Mobage(モバゲー)」で提供しているアバターを、メタバース空間で利用できるイベントである「Mobage 3D Park」が11月7日にプレオープンした。
同イベントの中でAVATECTの公開実証実験を行うことで、コンテンツ・ホルダーのメタバース・ビジネスにおける課題抽出や、その課題に対するAVATECTの有用性を検証するという。
実証実験では、ユーザーが予めダウンロードしたアバターをAVATECTに登録し、電子透かしによる真正性情報を付与するなどした後、Mobage 3D Parkに参加することで、アバターの流出/改竄を抑止できたかなどの具体的な効果を検証するとのこと。
検証内容として同社は、一般ユーザーのUX(ユーザー・エクスペリエンス)検証、アバターの真正性付与技術の検証、アバターのデータ・プロテクション機能に対するニーズの把握、AVATECTの有用性の検証を挙げる。実証期間は、11月11日18時までの予定。
今後の目標として同社は、AVATECTでの保護対象をフォト・リアル・アバターに加えてキャラクタ・アバターにも拡張させ、メタバース事業におけるIP保有企業とのさらなる連携を強化していくとしている。
さらに、時間/空間/身体的な制約を超えて人々の活動が広がる、メタバースを起点にしたエコシステム形成及び国際標準化を目指し、2025年度までに メタバース関連事業として100億円の売上を目指す。