フリマアプリ大手のメルカリは10月31日、2023年6月期第1四半期(7月~9月)の連結決算(日本基準)を発表した。最終損益が4億1200万円と前年同期の1億1900万円の赤字から黒字に転じた。後払い決算サービスなどを手掛けるフィンテック事業が好調に伸長した。またメルカリは同日、同事業のさらなる成長の一手としてクレジットカード事業への参入も発表。2022年11月中の事業開始を予定しており、与信事業を強化する考えだ。
売上高は前年同期比19%増の400億2900万円、営業損益は267%増の31億1900万円だった。各事業の着実な成長によって四半期売上高は過去最高を更新した。不正対策の効果により不正関連費用が半減したことも要因となった。
また、新規ユーザー獲得および出品強化に向けた投資を実施したことで、GMV(キャンセルなどを考慮した取引高の合計)の成長率は8%増の2204億円と想定通りに進捗。しかし、想定を上回るインフレによって、単価の上昇や消費者が生活必需品への支出を優先していることなどの影響でGMVの成長は鈍化している。
一方で、フィンテック事業におけるメルペイの利用者数は2022年9月末時点で1394万人を超えた。同サービスでは、一般的な属性データに基づく与信ではなく、フリマアプリ「メルカリ」の利用実績などに基づく独自の与信を活用。後払い決済サービス「メルペイスマート払い」、少額融資サービス「メルペイスマートマネー」などを提供している。特に「メルペイスマート払い」においては、「メルカリ」アプリで支払い明細が確認できる、「メルカリ」の売上金で清算をすることができるなど、同社は利用と支払いの管理のしやすさを追求しているという。
同社はこうした独自の特長を持つ与信事業をさらに拡大すべく、クレジットカード事業へ参入する。まずはメルカリユーザに向けて、⼀般的なクレジットカード機能とメルカリグループならではの売上金をより便利に利用できる機能を提供していく考えだ。
メルカリの米国事業においては、出品の簡便化に向けた継続的なプロダクト改善などが奏功し出品数が伸長した一方で、長期化するインフレの影響などでGMVは想定を下回って5%減の2億5800万ドルで着地。事業環境によっては、今後目標を見直す可能性はあるとするが、引き続きさまざまな施策を通じて目標の達成を目指す。
例えば、出品者が設定した金額の範囲内で、需給に応じて自動で価格を調整する機能や、購入者の利用履歴に応じたカテゴリー特化型ホーム画面や、継続購入に対するインセンティブの導入など、購入を促進する施策に取り組んでいくとしている。
さらに同事業の第2四半期以降の投資計画については、成長と収益のバランスを意識した経営を推進していく方針で中長期的に成果が積み上がる投資に絞る。人件費を含めた固定費の見直しにも取り組み、筋肉質な事業基盤を構築していくとのことだ。