NECは10月28日、2022年度第2四半期(7~9月)における決算説明会をオンラインで開催した。第1~第2四半期累計(上期)の売上収益は1兆4554億円(前年度比5.2%増)で増収だったものの、調整後営業利益は312億円と同比109億円の減益で着地した。
なお、第2四半期(7-9月)単体での業績は、売上収益が7957億円(同比8.9%増)、調整後営業利益が382億円の黒字(同比65億円増)だった。
上期の調整後営業利益の減益要因としては、第1四半期に引き続き、「ネットワークサービス」セグメントにおける業績が悪化したことが挙げられる。上期は133億円の損失(前年度比217億円減)を計上することとなった。
同社は第1四半期の決算説明会にて、部材不足によってグローバル5G領域での需要の時期ズレによる損失が発生したことを発表した。
第2四半期においては、海外での戦略受注案件による一過性の損失が出たことや、連結子会社のNECネッツエスアイの業績予想修正を反映したこと。加えて、通信キャリアの設備投資が下期に偏重し、上期が低調になったことを受けて大幅な減益となっている。
なお、NECネッツエスアイは同日に行われた決算説明会において年間業績予想を下方修正し、減益の見通しを発表している。
NEC 執行役員常務 兼 CFOの藤川修氏は、「海外における5Gの戦略的受注案件による一過性の損失や、調整・棚卸の引き当てなどにより75億円の損失を計上した。戦略的受注案件は、厳しい原価構成とするなどで初期の量産ロットを戦略的な価格としたものだ。部材不足や為替の影響により、当社の想定以上に資材コストも上昇した。顧客への吸収などの対策を講じているが、保守的に評価して今回は引き当てを行った」と説明した。
上期の実績を踏まえたうえで、下期には国内5G案件の取り込みと海外5G案件における出荷増、ITビジネスの増加などによって152億円の売上増を目指すという。
「年間で270億円の営業黒字に向けて取り組む。マクロ要因など不透明な要素が含まれるため、変化に対しては必要な措置を迅速に実施していく」と藤川氏は述べた。
なお、部材不足については上期後半から改善してきているという。先端ICチップや電源などの供給も戻りつつあり、「場合によっては部材不足の影響は縮小する」と藤川氏は見込む。
受注動向(前年度比)について、「社会公共」は都市インフや公共・医療分野の好調で上期は14%の増加となった。「社会基盤」は、宇宙領域の大型案件の反動減があったものの上期は4%の増加で着地した。「エンタープライズ」は、企業の旺盛な需要が継続し15%の増加だった。
ネットワークサービスは、第1四半期で固定系大型案件の反動減があったが、第2四半期に5G需要が拡大したことで10%の増加に転じて、上期は横ばいとなった。
「グローバル」はNetcrackerによる大型案件受注があり、DG/DF(デジタルガバメント/デジタルファイナンス)領域も堅調だったことで34%と大幅な増加となった。
また、エンタープライズなどで企業向けの需要が拡大したことで、ITサービスも上期は11%の受注増となった。
ITサービスについては、現在は中堅・中小企業の案件も戻ってきているという。DX(デジタルトランスフォーメーション)領域の需要も旺盛で、子会社のアビーム・コンサルティングがその恩恵を受け、「2ケタ%の売上増を継続しており、この先も好調が期待できる」とのことだ。
藤川氏は、「下期に向けて受注した期に売上が立てられるよう、有効受注残の積み上げを意識している。現在、前年比で300億円増の有効受注残を積み上げており、これらをしっかりやることで業績をリカバリーできると考える」と明かした。
2022年度の業績予想については、7月28日の第1四半期決算の発表から変更なく、同社は年間の調整後営業利益について1850億円の見通しを維持する。
また、同社の『2025中期経営計画』における5Gの計画についても変更はない。