楽天モバイルと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は10月27日、Stand Alone(SA)方式5Gモバイルネットワーク「5G SA」において、通信を行う二者間(エンドツーエンド)でネットワークスライスを自律的・自動的に運用する「ネットワークスライシングオーケストレーション技術」と、人工知能(AI)をオーケストレーターに組み合わせて5Gネットワーク運用を高度化する「AIを用いた5Gスライスオーケストレーション高度化技術」の新たな開発に成功したと発表した。

  • エンドツーエンド ネットワークスライシングオーケストレーションイメージ

    エンドツーエンド ネットワークスライシングオーケストレーションイメージ

5G SAとは、5G専用のコアネットワーク設備である5GC(5Gコア)と、5G基地局を組み合わせて通信をする方式。また、ネットワークスライシングとは、単一のネットワークインフラを仮想的に分割(スライシング)し、多様なニーズや用途に応じたサービスを提供できるよう複数の論理ネットワークとして提供・運用する技術のこと。

両者は今回、ネットワークスライシングをエンドツーエンドで自動的に設計・構築・運用する技術の開発した。また、同技術にAIを組み合わせることで5Gネットワーク運用を高度化する技術の新たな開発にも成功。

  • AIを用いた運用高度化技術のシステム

    AIを用いた運用高度化技術のシステム

これらの技術を導入したモバイルネットワークでは、ネットワークスライスの構築から運用までの自動化率77.5%を達成したという。従来は人の手を介して運用管理する必要があったが、自動的な運用管理を可能とすることで、日々のネットワーク構成の変更や、サービスの追加など、作業数の削減につながる。

両者は今後、同技術を商用の5G SAに導入し、ネットワークスライシングを活用することにより、現状の通話・インターネット閲覧などの用途にとどまらず、あらゆるモノがインターネットでつながるIoTや仮想現実(VR)、ドローン動画の配信などに活用していく。

同研究開発の成果を生かして楽天モバイルは、2023年をめどに商用5G SAに同技術を導入し、ネットワークスライシングを用いたネットワークサービスの提供を目指す。また、楽天シンフォニーがグローバルに展開するプロダクトに同技術を組み込み、世界中の企業にも提供していく考えだ。