米VMwareは8月29日から9月1日にかけて、米国サンフランシスコで、年次イベント「VMware Explore 2022」を実施し、クラウド、アプリケーション、セキュリティなど、さまざまな分野にわたり発表を行った。

本誌では、「vSphere 8」「VMware vSAN 8」を披露した、最高経営責任者(CEO)を務めるラグー・ラグラム氏による基調講演については既に紹介しているが、それ以外の発表についてはお伝えしきれていない。そこで本稿では、各ジャンルにおいて注目しておくべき発表を整理してみたい。

アプリケーション:「VMware Tanzu」の進化

VMwareは、クラウドネイティブなモダンアプリケーションのためのプラットフォームとして「VMware Tanzu」を提供している。今回、VMware Tanzuポートフォリオの進化として「Tanzu for Kubernetes Operations」と「Tanzu Application Platform」の新バージョンを発表した。

「Tanzu for Kubernetes Operations」のアップデート

「Tanzu for Kubernetes Operations」は、Kubernetesインフラ構築から開発から本番までの包括的なライフサイクルに対応するコンテナプラットフォームだ。

Tanzu for Kubernetes Operationsの主要コンポーネントである「VMware Tanzu Mission Control」「VMware Aria Operations for Apps(旧称:VMware Tanzu Observability by Wavefront)」「VMware Tanzu Kubernetes Grid」のアップデートが発表された。

「VMware Tanzu Mission Control」は、マルチクラスタおよびマルチクラウドのKubernetes管理機能が強化された。例えば、Amazon Elastic Kubernetes Service(EKS)クラスタのプロビジョニングと管理が直接行えるようになった。これにより、Tanzu Kubernetes GridとAmazon EKSのクラスタ タイプのライフサイクル管理を一元化できる。

また、VMware Aria Automation(旧称:VMware vRealize Automation Cloud)と統合され、IaaSおよびKubernetesプラットフォームの統合運用が可能になった。

さらに、GitOps経由でクラスタを採用し、一貫性のあるKubernetesクラスタ構成を実現できるようになった。同機能により、VMware Tanzu Mission Controlによるクラスタ構成の管理をGitリポジトリから継続的にデリバリーすることができる。

そのほか、「VMware Aria Operations for Applications」により、統合的なオブザーバビリティを提供する。同製品は、トレースやメトリック、ログにわたるコンテキスト データを提供するログ管理を既存の機能に追加することで、より実用的なインサイトを獲得し、平均修復時間(MTTR)を短縮するという。

「Tanzu Kubernetes Grid 2.0」は、ClusterClassによるクラスタ作成の柔軟性とコントロールの強化、オープンソースAPIの整合、アプリのライフサイクル管理機能、Carvelベースのツールが追加されており、Kubernetesとアプリのライフサイクル管理の効率化を図る。「Tanzu Kubernetes Grid 2.0」は「vSphere 8」に統合されている。

「Tanzu Application Platform」のアップデート

一方、「Tanzu Application Platform」は、Kubernetesで稼働するアプリケーションの開発・実行環境だ。VMware Tanzu Kubernetes Grid 、Amazon Elastic Kubernetes Service(EKS) 、Microsoft Azure Kubernetes Service(AKS)、Google Kubernetes Engine(GKE)上で稼働し、コンテナプリケーションをデプロイすることができる。

そして10月11日(米国時間)、最新版の VMware Tanzu Application Platform 1.3がリリースされた

Tanzu Application Platform 1.3はvSphereやベアメタル上で動作するRedHat OpenShift上で利用可能となった。これにより、既存のRedHat OpenShiftの資産を活用できるようになる。

また、「シフトレフト セキュリティ」を実現するため、以下の3つの新機能が追加された。

  • Snyk、Grypeに加えて、VMware Carbon Black Cloudとの統合(ベータ)により、サポートする脆弱性スキャナーのエコシステムを拡大
  • 集中型脆弱性監視ダッシュボード
  • SBoM(Software Bill of Material)のサポート
  • 集中型脆弱性監視ダッシュボードの画面

そのほか、動的なAPI仕様の登録が可能になり、Jenkins CI/CDが統合された。