米国で少し前から"Quiet Quitting"(静かな退職)がトレンドだ。退職はしないが最低限の仕事のみをするというもので、TikTokで火がついた。Quite Quittingが与える影響は何か?Dropboxの公式ブログでEditorのSally Zhang氏が「Are there silver linings to the quiet quitting movement?」として考察している。

若者を中心に、以前のようにガツガツ働いて上を目指すより、家族やプライベートを大事にしようという考えが広まっている。これはQuiet Quittingと言われるもので、Quit(辞める)という言葉は入っているが、仕事を辞めることなく最低限の仕事だけをするという動きだ。コロナで在宅勤務になり、人々の仕事への価値観が変化したことが関係あると見られている。

一方で、Quiet Quittingの考え方は新しいものではない。ブログでは、現在の職場にはベビーブーマー、GenX、ミレニアル、GenZと4世代が共存しており、仕事へのモチベーションはそれぞれ異なることを指摘する。Quiet Quittingの考えに同意する人の多くはGenZと呼ばれる世代だ。この世代は現在25歳~40歳で、デジタルネイティブ。一般的に、モノよりも体験を重視する、環境や多様性といった社会問題への意識が高いと言われる。

世代に関係なく、仕事に対して高いモチベーションや上昇意欲を持つことなく、最低限でいいという考えをする人はいたはず。「SNSによって意見を自由に言えるようになったことが大きい」とも分析している。

Quiet Quittingに行き着く原因として、記事では「ワークライフバランスが取れていない」「モチベーションの低下」などを挙げる。「モチベーションの低下は、喜びが欠如しており、不満、うつ、不安を感じていることが離脱状態を招いている」と記事。もし仕事が良い形でフィットしているのであれば、モチベーションの低下を感じることなく健康的なワークライフバランスを維持できるはず、という。

Quiet Quittingの動きは、自分と仕事との関係を見直すきっかけになる。その結果、仕事への意欲がなくなるどころか、実際に会社をやめるという人も出てくるだろう。

では企業はQuiet Quittingをどう考えるべきか?「素晴らしい人材が自社にいることは有り難いことと考えるべき」と記事。職種にもよるが、概して人材不足。さらには、リモートワークにより労働者にとっては働くことができる企業の幅が広がっている。選択肢の中から選ぶことができるため、「企業は従業員のエンゲージに責任があるということを再確認する機会になる」と記事は記す。

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