デロイト トーマツ グループのトーマツは10月17日、専門文書から監査に必要な情報の特定・抽出を行い視覚的に表示するAI(人工知能)ツール「Audit Suite Text Reviewer」を開発し、2022年9月から順次導入を開始したと発表した。

  • 「Audit Suite Text Reviewer」サービス概要

    「Audit Suite Text Reviewer」サービス概要

同ツールは、AIと自然言語処理技術と光学文字認識技術(OCR)を組み合わせ、契約書などの文書・画像ファイルの一貫した処理を行うことができる。AIを活用することで経験年数に関わらず熟練者の水準で文書検討が可能で、監査上の判断に集中できるほか、膨大な契約条項の傾向把握もできるという。

また、文書の内容に関わらず文書のレビューを全般的に支援する目的で、AIが最大3つの文書を横並びで比較して相違点を視覚的に一覧化する機能も搭載。例えば、監査先企業に提出する重要な文書をレビューする際に「作成中のドラフト」が「最新のひな型」をもとに「前期の内容」を引き継ぎつつ、「当期に必要な更新」が漏れなく正確に反映されているかの検証を支援する。これにより、会計士は相違点などに関する判断業務などに時間を割けるようになる。

  • 情報抽出機能

    情報抽出機能

  • 文書比較機能

    文書比較機能

第一弾では、「リース取引に関する会計基準」の今後の改定を見据えて不動産リース契約書のAI情報抽出機能を搭載し、リース料やリース期間などの会計処理に影響する記述を中心に25項目を自動的に抽出して該当箇所をハイライトし、一覧化する。今後は流動化取引やM&Aなど、より高度な専門性が要求される領域の文書に対するAI情報抽出機能を順次開発する予定とのことだ。