MAIA、グラミン日本、SAPジャパンの3社で構成する「でじたる女子活躍推進コンソーシアム」は10月11日、デジタル技術を活用できる女性人材の募集・育成・教育および就労支援を目的とした実証事業「でじたる女子プロジェクト」の成果を発表する記者会見を、オンラインとオフラインのハイブリッド形式で開催した。

説明会の冒頭では、内閣府 男女共同参画局 総務課長の杉田和暁氏が登壇し、「人材育成の施策はさまざまあるが、能力は身に付けたものの実際の就労に結び付かないことも多い。今回の取り組みは、出口(就労先)を見据えた施策となっている」と評し、同コンソーシアムの取り組みに期待を寄せた。

  • 内閣府 男女共同参画局 総務課長 杉田和暁氏

    内閣府 男女共同参画局 総務課長 杉田和暁氏

同コンソーシアムは、女性が自立するための精神的・経済的支援やデジタルに関するリスキリング教育、多様な働き方の推進と就労支援などを通じて、女性の所得向上による日本経済の活性化を目的とした組織だ。現在は愛媛県や鹿児島市と連携して事業を推進している。

ワークシェアリング型OJTで育成段階の人材の就労を支援

2つの自治体の事業では、それぞれ愛媛県内、鹿児島市内在住の女性が応募できる。応募者はオンライン説明会や選考を経て、約3カ月半のオンライン研修プログラムを通じてビジネス基礎知識やIT基礎知識のほか、RPA開発やSAPテストなどIT実務のためのスキルを習得し、SAPのパートナー企業や同コンソーシアムの連携企業での業務を紹介してもらえる。

プログラム応募者には、希望に応じて無担保での少額融資(1日あたり上限50万円、金融信用度の高低に関わらず金利は6%)が支給される。応募者は同資金を、研修の受講費用やPCの購入代金、Wi-Fiなどのインターネット接続環境の整備費用などに充てることが可能だ。

  • 「でじたる女子活躍推進コンソーシアム」での取り組み

    「でじたる女子活躍推進コンソーシアム」での取り組み

なお、2022年9月29日には、沖縄県糸満市でも同様のスキームの事業を開始することが発表された(プロジェクト実施主体はMAIAのみ)。同市では、市の事業として実施するため、融資が行われないが研修プログラムの受講費用は無料となる。

従来のデジタル人材育成では、就職活動を経て雇用されるという形式が一般的だが、企業が求めるのは即戦力人材であり、スキル面や稼働時間にミスマッチが発生して就労に至らないケースが多々あったという。同コンソーシアムでは、そうした課題を解決して新たな働き方を提供すべく、「ワークシェアリング型OJT」と呼ぶ中間就労形式を採用し、同コンソーシアムが企業の案件を受注し、応募者に紹介する形で就労機会を提供する。

MAIA 代表取締役社長の月田有香氏は、「プログラムの応募者には5人1組のチームを組んでもらい、スキルや就業時間などに合わせた業務をアサインする。業務に就く間も、同コンソーシアムのメンバーがマネジメントし、伴走支援しながら仕事に取り組めるので、実務経験のない、育成段階にある人材でも働くことができる。また、業務はすべてリモートワークで行うため、応募者は地元にいながら都市部の高単価な仕事を得て、オンラインでチームメンバーでつながりながら仕事をできる」と説明した。

  • MAIA 代表取締役社長 月田有香氏

    MAIA 代表取締役社長 月田有香氏

オンラインでのコミュニケーションやチームワーク、同コンソーシアムのメンバーへの質問などにはSlackを利用し、オフィス業務未経験者が多い応募者には、Slackの活用法などの研修も実施される。

当初は業務委託での就労から開始し、スキルの向上とともにプログラム応募者には企業からの直接雇用やフリーランス、起業など多様なキャリアパスの構築を目指してもらうという。