日立製作所は10月3日、多様な大規模組み合わせ最適化問題を高速に解くことができるという同社独自のCMOSアニーリングを、新たにクラウド・サービスとして提供開始した。価格は個別見積。
CMOSアニーリングは、量子コンピュータの一種である量子アニーリングの仕組みを半導体上で疑似的に再現し、手軽に扱える利便性を持ちながら、量子コンピュータのように膨大かつ複雑なパターンから最適解を探索するというコンピュータ技術のこと。
従来のコンピュータでは実現できなかった多様な社会課題を解決するために、実業務への活用が期待されているという。
新サービスは、金融ポートフォリオ最適化や大規模コールセンターなどの勤務シフト作成、移動ルート最適化による渋滞回避、生産、物流・配送、在庫などの計画最適化といった、実業務における多様な組み合わせ最適化問題に向けて、CMOSアニーリングのハードウェアやソフトウェアによる計算機能に加え、業務にすぐに適用できるというアプリケーション群を組み合わせたもの。
導入までのリードタイムを短縮し、月額制のSaaS型クラウド・サービスとして提供し、順次アプリケーションを拡充していくという。
同サービスでは、エンタープライズKubernetesプラットフォームである「Red Hat OpenShift」を採用。クラウド・ネイティブなシステムの導入を支援することで、プラットフォーム内のリソースをより柔軟かつセキュリティ重視の機能で最適化が可能とのこと。
高度な専門知識を必要とせず、導入する業務部門で操作できる他、必要に応じて、ユーザー企業の業務とCMOSアニーリングに精通した日立の専門チームによるコンサルティング・サービスも提供するため、業務への迅速な適用が可能としている。
今後は、在庫管理や渋滞解消など同サービスで提供する業務アプリケーション群の拡充に向けて、自社での開発やパートナーとの協創を進めていく予定だ。