矢野経済研究所は9月21日、メタバースの国内市場動向調査の結果を発表した。これによると、同市場は2021年度の744億円から2026年度には1兆円を超えるという。

同調査では2021年度の同市場規模を744億円と推計、2022年度は2021年度と比べて145.2%増の1825億円に成長すると見込む。

なお同調査では同市場を、メタバース・プラットフォーム、プラットフォーム以外(コンテンツ、インフラなど)、XR(VR(仮想現実)/AR(拡張現実)/MR(複合現実))機器の合算値と定義する。また、ゲーム専業のサービスを対象外としている。

  • 国内メタバース市場の規模予測 出典: 矢野経済研究所

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大(コロナ禍)の影響を受け、バーチャル(仮想空間)で代替するサービス、例えば、社内会議を始め、法人向けのバーチャル展示会やオンライン・セミナーなどに対する需要が急増したという。

一方、コロナ禍が継続する中で、リアル(現実)で実施すべきものと費用対効果の観点からオンラインでも可能なものとの棲み分けが明確化しつつあることから、バーチャル関連サービスの需要は今後も継続すると同社は見る。

こうした状況において、国内メタバース市場は法人向けが先行して立ち上がり、まずビジネス用途のサービスが普及し、以降消費者向け市場に浸透していくと同社は予測する。

2020年から2022年にかけて多様なメタバース・プラットフォームが立ち上がり、大手企業もメタバース市場に次々と参入し、事業者間の協業や業務提携などにより多様な実証実験を行いながら、今後の事業化を目指しているという。

今後はメタバース事業に参入する企業が増え、仮想空間を利用したオンライン・イベント(展示会やセミナーなど)やシミュレーション、教育・トレーニング、インターネット通販での接客やショッピング体験など、多様な産業分野において活用が拡大し、さらにハードウェアと技術の進展により消費者向け市場にも広く普及するとみられることから、2026年度には市場規模が1兆円を超えると同社は予測する。

メタバースの普及には、バーチャル(仮想)とリアル(現実)をシームレスに連携する技術やサービスも重要になってくるという。

XR機器を用いて入る世界を本質的なメタバースと見る事業者もいるが、現状のハードウェアと技術では制約が多いと同社は見る。同社は、今後このような技術の進展がどう進むかによって、メタバース市場の成長速度も変わる可能性があり、ハードウェアと技術の進展はメタバース市場成長の重要な要因になると推測する。

同社は、参入事業者がまずはPCやスマートフォンを中心にサービス提供を行い、ユーザー(消費者)が日常的に利用可能なサービスから普及すると見ているが、将来的にはXR機器の技術的進化、バリエーションの増加、普及台数の拡大と共に、消費者向けが大きく成長し、メタバース国内市場全体も拡大すると考えている。