米国オラクルは9月12日(現地時間)、OLTP・分析・機械学習・機械学習ベースの自動化を単一のMySQLデータベース内に統合したサービス「MySQL HeatWave」がアマゾン ウェブ サービス(AWS)で利用可能になると発表した。
新サービス「MySQL HeatWave on AWS」により、AWSのユーザーは、トランザクション処理にはAmazon Aurora、分析にはAmazon RedshiftまたはSnowflake on AWS、機械学習にはSageMakerといったように、別々のデータベース間で時間のかかるETLの複製を行わずに、MySQL HeatWaveにおいてトランザクション処理、分析、および機械学習のワークロードを実行できるようになる。
「MySQL HeatWave on AWS」はOracleで提供するマネージド・サービスとなるため、OCI上のMySQLのコンソールから提供が行われ、課金もオラクルが行う。
MySQL Global Business Unit Asia Pacific & Japan担当 MySQLソリューション・エンジニアリング・ディレクターの梶山隆輔氏は、「MySQL HeatWave on AWS」を提供した背景について、「AWSでシステムを作りこんでいる企業にとって、データベースだけオラクル製品を使うのは敷居が高い。AWS上でもMySQLを使ってもらえるよう、MySQL HeatWave on AWSを提供することにした」と説明した。
梶山氏は、「MySQL HeatWave on AWS」の特徴として、その動作環境としてAWSが採用されている点、コンポーネントの運用やサポートをオラクルのMySQLチームが行う点を挙げた。
「MySQL HeatWave on AWS」のアーキテクチャはAWS向けに最適化されており、競合製品と比較してより高い性能とより低いコストを実現するという。例えば、「MySQL HeatWave on AWS」は4TB TPC-Hベンチマークにおいて、Amazon Redshiftの20倍、Snowflakeの16倍、Google BigQueryの16倍高速という結果が出ている。
同様に、コストパフォーマンスはAmazon Redshiftの7倍、Snowflakeの10倍、Google BigQueryの12倍、Azure Synapseの4倍の価格性能を達成しているという。
「MySQL HeatWave on AWS」はOCI版と同様、データベースの機能のほか、機械学習「MySQL HeatWave ML」、機械学習ベースの自動化「MySQL Autopilot」を提供する。
「HeatWave ML」は、機械学習のライフサイクルを完全に自動化し、学習済みのモデルをすべてMySQLデータベース内に格納し、それらを別の機械学習ツールやサービスに移行する必要がない。「HeatWave ML」は平均して、Redshift MLよりも25倍速くモデルをトレーニングし、クラスタのサイズに応じてスケールすることが可能だという。
また、「MySQL Autopilot」は自動プロビジョニング、自動並列ロード、自動エンコーディング、自動データ配置、自動スケジュール、自動クエリ計画改善、自動変更伝播、自動エラー処理といった機能を提供する。
今回、OLTPワークロード向けに設計された追加のAutopilot機能が発表された。「Auto Shape Prediction for MySQL for OLTP」は、OLTPワークロードにおいて最高の価格性能を実現するためにプロビジョニングする必要がある最適なシェイプを予測できる。
梶山氏は「HeatWave ML」と「MySQL HeatWave on AWS」の機能差として、現時点では、UIがAWS版のみ実装されていると語っていた。「実装のタイミング」とのことなので、OCI版でも将来的には実装されると思われる。当然かもしれないが、コストパフォーマンスはAWS版よりもOCI版のほうが高いという。
なお、「MySQL HeatWave」は近い将来には、Microsoft Azureでも利用可能となる予定とのこと。