ストレージデバイスはコンピュータにおける代表的な故障箇所だ。ストレージが故障することでシステムは適切に動作しなくなる。データの損失も発生する。ストレージデバイスが故障する前に交換やデータのバックアップを行う必要があるが、正確に故障を予測することは難しく、突然のデータ消失に唖然とした企業やユーザーは少なくないはずだ。できるだけ故障しないストレージを使いたいというのは多くのユーザーの望みだ。
実際問題として、どのストレージの故障率が低いのかを調べるのは容易ではないが、いくつか注目すべきデータが公開されている。特に、オンラインバックアップサービス企業であるBackblazeが公開しているストレージデバイスの故障率に関するデータは興味深い。実際にバックアップサービスのデータセンターで運用しているストレージデバイスの統計データを公表しており、実際の稼働に基づく故障率を知ることができるからだ。
Backblazeは9月13日(米国時間)、「The SSD Edition: 2022 Drive Stats Mid-year Review」において、同社が稼働してきたハードディスクドライブ(HDD: Hard Disk Drive)とソリッドステートドライブ(SSD: Solid State Drive)の故障率について伝えた。
Backblazeは2022年6月30日時点で2558台のSSDをストレージサーバのブートドライブとして使用している。ブートドライブにはバックアップデータの書き込みは行われないが、ログファイルやストレージサーバが生成する一時ファイルなどを保存する役割を担っている。Backblazeは同じ目的でブートドライブに使われてきたHDDと故障率を比較した。双方を比較するのに十分なデータが集まったとし、そのデータを公開している。
2021年第2四半期までは、HDDとSSDの故障率は同じような経年変化を示していた。この時点ではSSDのほうが若干平均故障率が低い状態になっているものの、今後の動向に関しては不明だった。しかし今回のデータで、SSDはこれまでと同じ故障率を維持しているのに対し、HDDは故障率が高くなるという動向を示すという違いが現れた。
Backblazeはこうしたデータに基づいて、同社の環境でブートドライブとして使用する場合、HDDよりもSSDのほうが信頼性が高いと主張できると説明した。これまで経験則に基づいて行われていた推測が裏付けられる結果になったと指摘している。
現時点ではSSDの方が故障率が低いと言えるが、SSDの故障率がいずれ上昇に転じることは確実だとも説明。また、メディアの摩耗限界などに達した段階でSSDが壁に突き当たる可能性があるということにも言及している。