新潟医療福祉大学は9月6日、これまでの研究で有効性を示した筋肉が伸びた位置でのレジスタンストレーニング(筋トレ)における筋肉の収縮様式の違いによるトレーニング効果を比較した結果、「エキセントリック収縮」を含む筋トレが、筋力や筋肉の厚みを大きくするのに効果的であることが示されたと発表した。

同成果は、新潟医療福祉大 理学療法学科の佐藤成大学院生(新潟医療福祉大 バイオメカニクスLab/運動機能医科学研究所、松村総合病院にも所属)、同・吉田麗玖大学院生(新潟医療福祉大 バイオメカニクスLab/運動機能医科学研究所にも所属)、西九州大学 リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻の中村雅俊専攻主任らの共同研究チームによるもの。詳細は、生理学に関する全般を扱う学術誌「European Journal of Applied Physiology」に掲載されるという。

筋トレは主に筋力増強や筋肥大を目的として行われる。筋トレを実施する人はさまざまだが、特に時間に制約があるのが、リハビリテーションやスポーツの現場であり、短期間で効果的な筋トレの処方が求められている。

また、ダンベルを用いた腕の筋トレでは主に、2つの筋肉の活動が生じる。1つ目はダンベルによる負荷よりも、筋肉の発揮する力が上回った場合に生じる「コンセントリック収縮」で、ダンベルを持ち上げる動作で生じる。2つ目はダンベルによる負荷が、筋肉の発揮する力を上回った場合に生じる「エキセントリック収縮」で、ダンベルを下ろす動作で生じるという。

今回の研究では、若年男女の片腕に対してダンベルを持ち上げて下ろす筋トレ(コンセントリック+エキセントリック)、ダンベルを下ろすだけの筋トレ(エキセントリック)、ダンベルを持ち上げるだけの筋トレ(コンセントリック)を週2回、5週間かけて実施、筋力や筋肉の厚みの変化を比較したという。

その結果、コンセントリック+エキセントリックの筋トレを行ったグループと、エキセントリックのみの筋トレを行ったグループでは、筋力と筋肉の厚みが同様に大きくなったが、コンセントリックの筋トレを行ったグループではそれらが変化していないことが確認されたとする。この結果について研究チームでは、筋トレの効果を短期間で出すためにはエキセントリック収縮を含む筋トレが必要であることが示されたことになり、スポーツ選手やリハビリテーション患者、筋トレ愛好家がトレーニングを行う際の重要な情報となると説明している。

  • 筋力と筋肉の厚みの増加

    (左)筋力はコンセントリック+エキセントリックと、エキセントリックで増加。(右)筋肉の厚みもコンセントリック+エキセントリックと、エキセントリックで増加 (出所:新潟医療福祉大Webサイト)