大阪大学(阪大)は8月29日、重症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)肺炎患者の全血中にあるmRNAおよびマイクロRNAを測定・統合解析し、健常者と比べてインターフェロンシグナルが活性化していることを明らかにしたと発表した。

同成果は、阪大大学院 医学系研究科の戸上由貴大学院生(医学部附属病院 医員)、同・松本寿健特任助教(常勤)、同・小倉裕司准教授(救急医学)らの研究チームによるもの。詳細は、核酸ベースでの遺伝性疾患および後天性疾患の治療法に関する全般を扱うオープンアクセスジャーナル「Molecular Therapy Nucleic Acids」に掲載された。

mRNAやマイクロRNAなど、DNAからの転写物全体を対象とするトランスクリプトーム解析の発展により、RNAの実に約98%がタンパク質に翻訳されないノンコーディングRNAであることが理解されつつある。その中でも、特に短いマイクロRNAは、RNA干渉作用を持っており、がんなどの慢性疾患や敗血症などの急性期疾患の病態にも関与していることが明らかになりつつある。

しかし、COVID-19に関しては、マイクロRNAがmRNAを制御する働きにより、どのように病態に関与しているのかはまだ不明である。

そこで研究チームは今回、阪大医学部附属病院に入院となった重症COVID-19患者の入院時の全血中からRNAを抽出し、mRNAおよびマイクロRNAの解析を実施することにしたという。

その結果、これまでにわかっているmRNAとそれを抑制するマイクロRNA組み合わせから、インターフェロンにかかわるmRNAやマイクロRNAが変化しており、インターフェロンシグナル伝達経路が活性化されていることが判明したとする。また、「miR-5196-3p」と「miR-143-3p2」という2種類のマイクロRNAの変化が、COVID-19での死亡と関連していることも明らかになったとする。

なお研究チームでは、今回の研究成果により、COVID-19が重症化する人としない人の違いがわかる可能性があるとするほか、この結果を応用して、COVID-19の重症化しやすい人や死亡リスクの高い人が早期の段階でわかるようになる可能性があるとしている。

  • 今回の研究の概要図

    今回の研究の概要図 (出所:阪大Webサイト)