住友重機械工業は8月8日、鉄鋼曲面を吸着走行する新型ロボット機構の開発を発表した。同機構は、同社の技術研究所が考案した2つの回転軸によって回動可能な磁石を内蔵した中空の球状車輪が用いられており、同社の「重工製造現場向け作業ロボット」に実装されている。

  • 鉄鋼曲面を吸着走行可能な「重工製造現場向け作業ロボット」

    鉄鋼曲面を吸着走行可能な「重工製造現場向け作業ロボット」

船舶やプラント設備などの大型鉄鋼構造物の製造・保守の現場では、磁力によって構造物表面や壁面に吸着して移動する車輪型ロボットが多様されている。しかし、従来のロボットは、主に平面上の走行に限定されていた。

同社が今回開発した機構により、「曲面形状をした壁面の走行」「壁面への着脱」「壁と天井など2つの面がなす隅部の乗り越え」などの動作を、複雑な制御を必要とせずに実現できる。

そのため、従来人手に頼らざるを得なかった曲面上での溶接作業などにロボットを活用することで、作業者の負担軽減が期待できる。

今回の開発の成果は、2020年のIEEE ICRA(IEEE主催のロボット分野における国際会議)にて発表した基本原理に基づいており、現在では製造現場における点検、切断、アーク溶接への活用も進めている。